映画スクエア
2021年7月7日に85歳でこの世を去った、映画監督のロバート・ダウニー。ロバート・ダウニー・ジュニアの父としても知らえるロバート・ダウニーが監督した、1969年製作の映画「パトニー・スウォープ」が、夏に劇場公開されることが決まった。
「パトニー・スウォープ」は、独自の過激なユーモアで世の中のあらゆる欺瞞を風刺し、賛否両論を呼んだ映画。1960年代のニューヨーク、マディソン・アヴェニューの名門広告会社の創業者が突然亡くなり、会社の唯一の黒人役員であるパトニー・スウォープが新社長に選出される。スウォープは会社の名前をTruth&Soulに変更し、ほぼすべての白人役員を解雇する。奇抜だが悪趣味ともいえる広告キャンペーンは次々とヒット商品を生み出し、会社は新たな成功へと飛躍する中、何とスウォープは国家安全保障への脅威であるとして、アメリカ大統領の陰謀に巻き込まれていく。
1969年の全米公開時には、「最も悪意に満ちた悪徳の映画」(デイリー・ニューズ)と酷評される一方、ジェーン・フォンダがテレビで「イージー・ライダー」と並んで見るべき映画として本作を挙げるなど、評価は真っ二つだった。ポスターが刺激的すぎるとして、各地の映画館で掲載拒否運動が起こったというエピソードも残されている。
本作は、ジム・ジャームッシュやポール・トーマス・アンダーソンなど多くの映画作家に影響を与えたという。特にアンダーソンは最も影響を受けた作品の一つに挙げ、「ブギーナイツ」でドン・チードルが演じるバック・スウォープというキャラクターを創造し、本作へのオマージュとしているほか、ダウニーを役者として「ブギーナイツ」「マグノリア」で起用している。最新作「リコリス・ピザ」は「ロバート・ダウニーに捧ぐ」の献辞で終わる。
【作品情報】
パトニー・スウォープ
2022年夏 渋谷ホワイトシネクイントにて公開 順次全国公開
配給:RIPPLE V