1970年代、軍事政権下のブラジル 逮捕された夫を捜し続ける妻 「アイム・スティル・ヒア」公開日決定

映画スクエア

 第97回アカデミー賞で、ブラジル映画初の国際長編映画賞を獲得したほか、主演女優賞と作品賞にもノミネートされた映画「アイム・スティル・ヒア」の劇場公開日が2025年8月8日に決まり、本ポスタービジュアルが公開された。

 「アイム・スティル・ヒア」の舞台は、1970年代の軍事政権下のブラジル。元国会議員のルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちとリオデジャネイロで穏やかな日々を過ごしていた。だが、スイス大使誘拐事件を契機に、国の空気は一変する。抑圧の波が広がる中、ある日、ルーベンスは軍に逮捕され、そのまま連行される。愛する夫を突然奪われたエウニセは、必死に行方を追うが、彼女自身も軍に拘束され、過酷な尋問を受けることとなる。極限の状況の中でなお、彼女は沈黙を貫き、夫の行方を捜し続ける。

 監督は、「セントラル・ステーション」で国際的評価を築いたウォルター・サレス。長編としては16年ぶりに、祖国ブラジルにカメラを向けた。軍事独裁政権下で消息を絶った政治家ルーベンス・パイヴァと、夫の行方を追い続けた妻エウニセの実話に基づいている。サレス自身、幼少期にパイヴァ家と親交を持ち、この記憶を、喪失と沈黙をめぐる私的な問いとして丁寧に掘り起こした。エウニセを演じるのは、第97回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたフェルナンダ・トーレス。

 公開されたポスターは、果てしなく広がる青空の下、リオデジャネイロの海辺で過ごす穏やかな家族の時間が収められている。その情景は、かつて確かに存在した”幸せ”の風景のシーンだった。「言葉を奪われた時代──彼女はただ、名を呼びつづけた」のコピーは、このあとに家族がたどる運命を静かに予見している。

【作品情報】
アイム・スティル・ヒア
2025年8月8日(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
配給:クロックワークス
©2024 VideoFilmes/RT Features/Globoplay/Conspiração/MACT Productions/ARTE France Cinéma

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