映画スクエア
日高虎太郎監督作「2人のギブス」が、2025年8月30日より劇場公開されることが決まった。
「2人のギブス」は、ケガをきっかけに心を通わせる女子高生2人の姿を描いた青春物語。部活中の”衝突”によって足を骨折した、愛花(古見陽香里)と詩織(古林南)が、ギプスと松葉づえとともに過ごす日々を見つめていく。教室、帰り道、部室へと続く階段。移動は遅く、不自由でぎこちないが、その不自由さこそが本作の“語り口”になっている。
第25回TAMA NEW WAVE「ある視点」で上映された本作の監督を務めるのは日高虎太郎。ある夏の日に、日高監督が駅で松葉づえをついた2人の女子高生を見かけたことから生まれたという。本作では、ギプスを単なる小道具としてではなく、”語られない心情のメタファー”として昇華させている。
監督・脚本の日高虎太郎、池浦愛花役の古見陽香里、伊坂詩織役の古林南、中谷昌樹役の田村明石のコメントも公開された。コメントは以下の通り。
■監督・脚本 日高虎太郎
2年前の夏、下北沢の駅近くでギプスを嵌め、松葉杖をついた女子高生2人組を目撃した私の経験からこの作品は出発した。
互いに同時的に怪我をした2人(愛花と詩織)が、その怪我をきっかけにバスケットボール部員として不能になり、それまでの部内での地位、当人の実力が2人の間では無効となる。この映画は接触事故が起きた瞬間、ましてや、それ以前の愛花、詩織の女子高生として、バスケットボール部員としての生活に対してキャメラが捉えることなく、怪我をしてから、更に時間が経過した2人から物語は始まる。
そして、このキャメラで捉えなかった2人の怪我の原因となった衝突を愛花と詩織が映画内で再現しようとする様を出来る限りの誠実さを持ってキャメラで捉えることによって生み出されるものに私は強く希求したいと思った。
■古見陽香里
池浦愛花を演じております古見陽香里です。 今回、愛花役として本作品に出演させて頂けた事、沢山の方々に感謝致します。
高校時代の記憶を思い返しながら、照らし合わせながら、大切に撮影に挑ませて頂きました。数年ぶりに"青春"が帰ってきた様な気がしてとても幸せな撮影期間でした!
最後に。私1人だけではなくキャストやスタッフの皆様、監督と創り上げた"愛花" を温かく見守って頂けたら嬉しいです!
■古林南
初めて脚本に目を通したとき、卒業アルバムを開くような懐かしい気持ちになりました。
人に対して抱く感情の中には、「好き」「嫌い」みたいにはっきりと断言できないことばかりです。そんな人と人の間にある“何か”を真っ直ぐに見つめた物語です。
不器用で不完全な等身大の青春の中で、誰かが誰かを想う視線を追うように《詩織》を演じました。
■中谷昌樹
僕の第一印象として、初めて脚本を拝読させて頂いた時に、登場人物たち全員に共感の気持ちが溢れ出たのを覚えています。僕が今作において務めさせて頂く、中谷昌樹という男は”今”を繊細に生きる高校生です。自尊心を傷つけられたり、目の前で起きている出来事に好奇心と探究心から、理性と本能の狭間で安心を求めてみたり、強烈な嫉妬心を抱いて心配事が尽きない毎日。無心になりたくてそれを払拭するかの様に一心不乱に部活動に打ち込んでみたり。
そんなありふれた日常を、不器用で不安定な心を持った男が一生懸命に生きます。とっても情けない奴なんですけど、素直でいい奴なんです。笑
そんな中谷昌樹を、素敵で叙情的なこの物語の中で、僕なりに優しく丁寧に紡いでいけるよう精一杯、頑張りました。
【作品情報】
2人のギブス
2025年8月30日(土)より 新宿K’s cinemaにて公開
配給:小さな映画
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