人々が部屋に閉じ込められた世界 同居人を「殺してやりたい」と語る老人 「ピンク・クラウド」本編映像

映画スクエア

 2023年1月27日より劇場公開される、ブラジルの新鋭イウリ・ジェルバーゼの長編監督デビュー作「ピンク・クラウド」から、本編映像の一部が公開された。

 公開されたのは、一晩の関係のはずが、触れると10秒間で死に至る雲の発生により人生をともにすることとなったジョヴァナとヤーゴが、テレビのニュース番組を見るシーン。ピンクの雲によって制限された生活をむしろ喜ぶ人々、雲を肯定的に見るインフルエンサーなどが取り上げられるなか、現状を受け入れられないジョヴァナと現在に適応してゆくヤーゴの対比が浮かび上がる。一方、看護師と2人きりとなった年老いたヤーゴの父は、赤の他人の看護師との生活が気にくわず「殺してやりたい」とヤーゴに電話で言い続け、さらには死んだはずの妻について「いつ戻る?」と言い始める。

 「ピンク・クラウド」は、人々が部屋の中に閉じ込められた世界を描いた作品。一夜の関係をともにしたジョヴァナとヤーゴは、触れると10秒間で死に至る正体不明のピンクの雲が突如として発生したことを知る。窓を閉め切って高層アパートに引きこもり、ロックダウン生活に入る二人。月日が流れ、この生活が終わらないことを誰もが悟り始めたころ、ヤーゴは父親になることを望む。ジョヴァナは反対するものの、やがて男の子のリノが生まれる。家の中という狭い世界で不自由なく暮らすリノと新しい生活に適応するヤーゴだが、ジョヴァナの中で生じたゆがみは、次第に大きくなっていく。

 2017年に脚本が書かれ、2019年に撮影された本作は、当初SFとして構想されていたが、世界的なパンデミックで一変した現実と重なる作品となった。監督のイウリ・ジェルバーゼは、本作が初の長編映画。外には一歩も出られず、部屋の中でしか生きられないディストピアで、制限された状況下における人間の感情を描いている。

 また、映画の公開を記念して東京・代官山 Lurf MUSEUM、表参道 LOTUS、渋谷 CAFE:MONOCHROMEとのタイアップが決定した。コラボグッズの販売などが実施される

【作品情報】
ピンク・クラウド
2023年1月27日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
配給:サンリスフィルム
©︎ 2020 Prana Filmes

新着コンテンツ