塚本晋也監督 ”戦争加害者の傷”のテーマに挑む 「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」公開決定

映画スクエア

 塚本晋也監督の最新作「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」が、2026年9月より劇場公開されることが決まった。

 「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」の原作は、ベトナム戦争に従軍したアレン・ネルソンが、自らの戦争体験と帰還後の葛藤をつづったノンフィクション。ネルソンはその体験をもとに、日本全国で1200回以上の講演を行い、”ほんとうの戦争”を語り続けてきた。その証言をもとに、塚本晋也監督が、「戦争加害者の傷」のテーマに真正面から挑んでいる。

 主人公のアレンは、ニューヨークの貧しい家庭に生まれ、差別と貧困から抜け出すため18歳で海兵隊に入隊する。沖縄のキャンプ・ハンセンを経て、1966年にベトナム戦争の最前線へ送られる。だがそこで待っていたのは、ただ人を殺すことを強いられる、恐るべき凄惨な現実だった。命を奪う経験を重ねるうち、アレンの心は次第に感覚を失っていく。23歳で帰国した彼を待っていたのは、戦場の記憶に縛られる日々だった。大きな音や暗闇におびえ、家族との関係も崩壊し、やがてホームレスへ。そんな彼を救い出そうとする、退役軍人病院のダニエルズ医師が現れる。

 キャストには「シャイン」「英国王のスピーチ」などのジェフリー・ラッシュをはじめ、ブロードウェイミュージカル「RENT」のオリジナル・キャストおよびクロージング・キャストを務めたロドニー・ヒックスのほか、タチアナ・アリ、マーク・マーフィーらが集結。ニューヨーク、タイ、ベトナム、日本と、国境を越えて撮影が敢行された。

 塚本晋也監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【塚本晋也監督 コメント】

大岡昇平さんの「野火」を映画化するとき、さまざまな資料、書籍を読んだが、そのとき出会った何よりも恐ろしいノンフィクションが『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』だった。アレン・ネルソンさんは、ベトナム戦争で多くの人を殺した。そして戦争後遺症に生涯悩まされ続けた。自分の犯した罪とその後の人生を包み隠さず吐露した本は、いつまでも頭から離れず強烈に自分の心に刻み付けられた。
これがもし映画になったら?と想像すると、今の世の中に絶対必要なことに思えた。戦争がどういうものか。戦争が人をどう変えるか。周囲の人にどういう影響を与えるか。
同時に、そんな恐ろしい考えは持たないようにしよう、と逃げる理由も考えた。
映画化はあまりに難しく、逃げる理由はいくらでも並べることができた。
その物語に近づこうとするたび、人間の暗部がいやというほど浮き彫りになり、苦痛を感じた。しかし、体は、この企画の実現のためにとどまることを忘れ休みなく動き続けた。果たして映画化は困難を極め、作らなければ、でも逃げたい、というせめぎ合う気持ちは7年もの間完成に到るまで続いた。
あちこちで戦火をあげている今の世界。それをますます身近に感じるようになった。これは、アレン・ネルソンというアフリカ系アメリカ人の一人の兵士を描いた真実の物語だ。
今は亡くなってしまったアレンさんを蘇らせ、人々に知ってもらうことが今の世の中にどうしても必要、という考えを捨て去ることができずに、多くの人たちの理解と協力を得て完全なものとして出来上がった。
彼の生きる姿が、皆さんの心に届くことを心から願っています。

塚本晋也

【作品情報】
ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?
2026年9月、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:キノフィルムズ
©Mr. Nelson, Did You Kill People? Film Partners

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