映画スクエア
2025年11月21日より劇場公開される、2023年の中国で興収第1位を記録したチャン・イーモウ監督作「満江紅/マンジャンホン」から、本編冒頭映像が公開された。
映像は、広大な城内を疾走する兵士たちの俯瞰ショットから始まり、長年激しい戦いを続けていた南宋王朝と金による和平会談を目前に、金の使者が何者かによって殺害される事件が映し出される。現場の混乱の中、本作の主役である下級兵士・張大(ちょうだい)と若き武将・孫均(そんきん)が登場。叔父と甥の関係でありながら、張大を尋問する孫均の姿が映し出され、物語は疑念の渦へと巻き込まれていく。当初「紅夢」の続編を撮るために建設されたという壮大なスケールの舞台セットも見られる。
「満江紅/マンジャンホン」は、裏切りと策略が渦巻く南宋朝廷を舞台にした壮大な歴史陰謀サスペンス。12世紀の中国。南宋王朝は、北方の強国・金と激しい戦いを続けていた。金に奪われた領土回復を目指した英雄・岳飛が処刑されてから4年後、南宋の宰相・秦檜はついに金国との和平交渉に臨む。しかしその前夜、交渉の要となる金国の使者が殺され、南宋の皇帝に渡るはずだった極秘の手紙も消えてしまう。若き武将・孫均と下級兵士・張大は、秦檜から「夜が明けるまでの2時間のうちに犯人を見つけよ」と命じられる。調査が進むにつれ、張大と孫均の二人の胸に秘めた思惑も徐々に明らかになり、やがて背後に潜むさらなる陰謀が姿を現す。
監督は、デビュー作である「紅いコーリャン」でベルリン国際映画祭のグランプリを受賞し、中国映画界”第五世代”を代表する巨匠チャン・イーモウ。非業の死を遂げた名将・岳飛の遺詩に着想を得て、脚本の完成までに4年の歳月を費やした。中国では、チャン・イーモウ監督作史上最高となる約45億4000万元(900億円超)の興行収入を記録した。中国の国民的俳優シェン・トンと、大人気アイドルグループ「TFBOYS」の元メンバーで、「少年の君」で香港電影金像奨の主演男優賞と新人賞にダブルノミネートされたイー・ヤンチェンシー(英名:ジャクソン・イー)がダブル主演している。
■岩井俊二(映画監督)
イー・ヤンチェンシーの表現は常に新しさに溢れている。
今回は何を手本にこの演技を発想したのか?
『少年の君』とも『小さな私』ともまったく異なるアプローチで、最近の若者感を微塵も感じさせずに南宋の武人を演じ切る。
■久米宏(フリーアナウンサー)
南宋が舞台の時代劇だ
チャン・イーモウ監督の腕は冴え渡り、映像は美しく、アクションは激しく厳しい
物語の展開は さすがチャン・イーモウだ
飽きさせるという言葉は 彼の辞書にはない
当然の事のように 安心して大団円を迎える事が出来る。
■くれい響(映画評論家)
チャン・イーモウ監督ならではの溜息こぼれる圧倒的な様式美に、シリアスもコメディもこなす“中国のムロツヨシ”シェン・トンの多才な魅力。
両者が巧みに織りなす化学反応に加え、二転三転どころじゃないダンジョンRPG的展開にハマること間違いなし!!
■東紗友美(映画ソムリエ)
朝廷内のカオスを見せる人間関係は文句なしに面白い!
全員が命懸けで嘘をつく。
疑心暗鬼に沈みながら、それでも終わらない騙し合いの連鎖に息を呑む。
登場人物の多さ、タイムリミットまでの緊張感、一瞬たりとも目が離せずどんどん能動的になり、気づけばこの物語の中に巻き込まれていた。
映画的興奮が全身を貫いた157分。
あっという間の時間だった。
■徐昊辰(映画ジャーナリスト)
舞台喜劇とリアリズム、二つの調子を自在に行き来し、荒唐無稽さと壮大さが同居する独特の世界をつくり出している。滑稽でありながら、どこか叙事詩のような余韻を残す。
俳優陣は個性豊かで、異なる演技スタイルがぶつかり合いながらも絶妙に溶け合う。その“ずれ”さえも映画の味わいになっている。音楽もまた、意図的に“出すぎる”ことで作品にユーモアと自嘲のトーンを与える。
ここ数年のチャン・イーモウ監督作の中で、最も完成度の高い一本だろう!
【作品情報】
満江紅/マンジャンホン
2025年11月21日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開
配給:Stranger、TWIN
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