映画スクエア
2024年10月18日より劇場公開される、第76回カンヌ国際映画祭の「ある視点部門」に出品され、第96回アカデミー賞国際長編映画賞のシンガポール代表となった映画「国境ナイトクルージング」から、本編映像の一部が公開された。
本編映像が収めているのは、上海から来たエリート会社員のハオフォン(リウ・ハオラン)、バスガイドとして観光案内をしているナナ(チョウ・ドンユイ)、叔母の食堂を手伝っている料理人のシャオ(チュー・チューシアオ)の3人が出会い、酒を交わし、酔っぱらった状態でナナの部屋になだれ込んだ後の様子を捉えた場面。シャオが部屋の端にあったギターを手に取り、おもむろに「Susan's Dancing Shoes」という歌を口ずさむ。静かにシャオの歌に耳を傾けるナナとハオフォン。そして、それまで明るく振る舞っていたナナの目に涙が光るのだった。
チュー・チューシアオが、得意なギターと歌唱を披露。チョウ・ドンユイが、歌詞が自分に向けられているように感じているナナの切ない姿を表情だけで表現している。
「国境ナイトクルージング」の舞台は、文化が混じりあい、いたるところに漢字とハングルが混在している、中国と朝鮮半島の国境にある延吉(えんきつ)。そこで男女3人が偶然出会い、冬の延吉をぶらぶらと観光することで起こる心の変化を描いた青春映画となっている。それぞれの事情で孤独と葛藤を抱え、やり場のない寂しさに閉じ込められていた彼らだったが、磁石のように引き寄せられ、数日間を気ままに過ごす。深入りせずに、この瞬間をひたすら楽しむのが暗黙のルールで、過去も未来も忘れ、一緒にいるだけで凍りついた心がほどけていく。
監督を務めたのは、「イロイロ ぬくもりの記憶」で、フィリピン人ヘルパーと彼女が世話をする10歳の子供との絆を繊細に描き、第66回カンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞したシンガポール出身のアンソニー・チェン。「少年の君」のチョウ・ドンユイが主演し、「唐人街探偵」で天才探偵を演じたリウ・ハオラン、「あなたがここにいてほしい」のチュー・チューシアオが顔をそろえてる。
【作品情報】
国境ナイトクルージング
2024年10月18日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
配給:アルバトロス・フィルム
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