チャップリンを敬愛するジョニー・デップ ゆかりあるロマのエピソードを語る 「チャップリン」本編映像

映画スクエア

 2025年12月19日より劇場公開される、チャーリー・チャップリンのルーツに迫るドキュメンタリー映画「チャップリン」から、チャップリンを敬愛する俳優ジョニー・デップがチャップリンのルーツであるロマについて語るシーンの、本編映像が公開された。

 以前にチャップリンの作品について、「放浪紳士は心が優しく、根っこから純粋でありながら、ワルな一面も持っている」と魅力を語っていたデップは、自身の出演作「妹の恋人」でチャップリンが「黄金狂時代」で披露する「パンのダンス」をオマージュした。さらに、「ショコラ」「耳に残るのは君の歌声」でロマの青年を演じるなど、チャップリンとロマのどちらにもゆかりのある人物だ。映像の中でデップは、ロマの人々がかつて生活していたトレーラーハウスを所有し、「このトレーラーハウスに来ると、心が落ち着きます」とほほ笑みながら語っている。

 「チャップリン」は、チャップリンのルーツに迫る新たな視点の作品。ドタバタ喜劇に庶民の哀愁や社会風刺を巧みに組み込んだユーモアにあふれる作品を多く生み出し、世界中の人々を魅了してきたチャーリー・チャップリン。ちょびヒゲにだぶだぶのズボンと大きなドタ靴、ステッキと山高帽がトレードマークの“放浪紳士”に扮し、笑いの中にさみしさや孤独を抱え、社会のなかで弱い立場の人に寄り添う心優しいキャラクターで愛されてきた。本作では、チャップリンがロマの血を1/8引き、そのことを誇りに思っていたことが明かされる。

 劇中でチャップリンの足跡をたどるのは、息子のマイケル・チャップリン。父の名声と親の七光りという重圧に苦しんだマイケルが、父子断絶を経てその関係を見つめ直す。「ドクトル・ジバゴ」などで知られる俳優で娘のジェラルディン・チャップリンらも出演し、家族だけが知る素顔を語る。監督を務めるのは、孫のカルメン・チャップリン。さらに、ジョニー・デップやエミール・クストリッツァら、チャップリンを敬愛する各界の著名人も登場する。

 チャップリンの息子マイケルと、本作の監督を務めた孫のカルメンのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■マイケル・チャップリン(チャップリンの息子)
私は若いころずっと父から逃げていました。父は私には巨大すぎる存在でいつも及び腰になっていたのです。自分では認めたくなかったので、虚勢を張って気の弱さを隠していました。自分をごまかしていたのです。しかし、私が本当に逃げていたのはどこに行ってもついて回る父の名声です。どうしても父と自分を切り離して考えられませんでした。私は結局父の名声のおかげ。そんな思いから必死に逃れようとしました。
父はとっくの昔に亡くなりましたが、私が父の陰から抜け出すことができたのは、ロマのおかげだと確信しています。父のロマとしてのルーツを示す手がかりや父がスクリーンの中で演じてきたキャラクター“放浪紳士”を深く追求しました。そして、父が心の中に秘め、時には自慢さえしていたロマの人々の足跡を辿ろうと思ったのです。

■カルメン・チャップリン(監督/チャップリンの孫)
数年前、映画の撮影でルーマニアのブカレストに行った時、人々に無視され、警察に迫害されているロマの子供たちを見かけました。食べ物を探し、警察から怯えながら逃げ惑う孤児たちの姿に衝撃を受けました。それはまるで祖父チャーリー・チャップリンの映画『キッド』から飛び出してきたかのようだったのです。
祖父の母ハンナは、ロマのルーツを老年まで隠していましたが、亡くなる3年前、祖父が36歳の時に、そのことを打ち明けました。彼の祖先のルーツを辿るこの事実は、祖父にとって新しい発見であり、大きな意味を持っていました。祖父は異端者であり、ロマの伝統を大切にしていた開拓者でした。彼にとってこのルーツは、貧困に苦しんだ自身の幼少期に尊厳を与え、母と弟と共に耐え忍んだ過酷な苦しみに夢と魔法をもたらしたのです。
祖父の伝説的なキャラクター“放浪紳士”は、暗い世の中を照らす希望の光でした。祖父は様々な階級や職業の人々を魅了し、自分の子供たちにも情熱と創造的自由を体現するインスピレーションを与えました。本作では、チャーリーの息子で私の父マイケル・チャップリンによる歩みを通して、あまり知られていない私たち家族のロマのルーツを明るみにし、その文化によって祖父がどのように芸術家一家を生み出したのかに迫ります。チャップリンの物語はこれまで何度も語られてきましたが、共同脚本に参加するなかで、私は父マイケルの視点から個人的なアプローチをしたいと考えたのです。

【作品情報】
チャップリン
2025年12月19日(金)より角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
配給:アンプラグド
©The Caravan Trail, A.I.E, Kwanon Films Limited, and Submarine Sublime 2024
Charlie Chaplin™ © Bubbles Incorporated SA

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