映画スクエア
2025年12月19日より劇場公開される、脚本家・荒井晴彦が監督を務め、綾野剛が主演する映画「星と月は天の穴」から、娼婦・千枝子役で新境地を見せる田中麗奈の姿を捉えた、場面写真が公開された。
本作で田中が演じるのは、主人公・矢添(綾野剛)のなじみの娼婦・千枝子役。矢添を憎からず思っており、彼に対して他の客以上の“情”はある。しかし関係は進展することなく、時だけが流れ、女として自身の人生の選択をする時であることを自覚している女性だ。
愛をこじらせている矢添に決して踏み込むことなく淡々と寄り添う一方で、矢添の一番の理解者であることも見受けられる。さらには、己の幸せのために大きな決断を下していく千枝子の姿は切なくも軽やかで、紀子(咲耶)と対照的な人物像となっている。ままならなさ、どうしようもなさを抱える心の内をすべて言葉にはしないが、それが役柄への説得力が増している。田中自身も「今でも千枝子を思うと胸がキュッとします」と語る通り、千枝子が持つ矢添へのある種の愛と諦念、複雑な女心を体現している。
「星と月は天の穴」は、妻に逃げられ結婚に失敗して以来、独身のまま40代を迎えていた小説家の矢添(綾野剛)を描いた作品。心に空いた穴を埋めるように、娼婦の千枝子(田中麗奈)と時折り体を交え、捨てられた過去を引きずりながらやり過ごしていた矢添。彼には恋愛に尻込みをするもう一つの理由があった。それは、誰にも知られたくない自身の“秘密”にコンプレックスを抱えていたのだ。そんな矢添は、自身が執筆する恋愛小説の主人公に自分自身を投影することで、「精神的な愛の可能性」を自問するように探求するのが日課だった。ところがある日、画廊で偶然出会った大学生の瀬川紀子(咲耶)と、彼女の粗相をきっかけに奇妙な情事へと至り、矢添の日常と心が揺れ始める。
「ヴァイブレータ」「共喰い」などキネマ旬報脚本賞に5度輝き、半世紀ものキャリアを誇る脚本家・荒井晴彦が、長年の念願だった吉行淳之介による芸術選奨文部大臣受賞作品を映画化。 過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら描いている。主人公の矢添克二を演じるのは綾野剛。これまでに見せたことのない枯れかけた男の色気を発露したキャラクターを体現する。女子大生の紀子役を新星咲耶、矢添のなじみの娼婦・千枝子役に田中麗奈が演じるほか、柄本佑、岬あかり、MINAMO、 宮下順子らが出演する。
【作品情報】
星と月は天の穴
2025年12月19日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2025「星と月は天の穴」製作委員会