映画スクエア
「世界の果ての通学路」の製作チームによるドキュメンタリー映画「世界のはしっこ、ちいさな教室」(公開中)から、ロシア・シベリアの遊牧民エヴェンキ族の子供たちに、勉強だけではなく代々伝わる伝統も教える女性教師スヴェトラーナが、やりがいを語るシーンの本編映像が公開された。
映像では、スヴェトラーナから教室で学ぶ子どもたちの姿などとともに、「嬉しいのは教え子の成長や進化を感じたとき。その喜びが私を突き動かす。子供たちの目は本当に素晴らしい。新しいことを発見したり学んだりすると、顔がぱっと明るくなります」と語るスヴェトラーナが捉えられている。
トナカイの牧夫である両親を持つスヴェトラーナは、6歳で寄宿学校に入学したため、両親と一緒に伝統的な生活を送れなかったことを悔やんできた。そんなスヴェトラーナは、エヴェンキ族とユネスコの協力で設立されたエヴェンキ・セカラン協会に所属し、広大なシベリアの地で遊牧生活を送る同胞のために、教材や机などを乗せたトナカイのソリで子供たちが暮らすキャンプ地を走り回っている。移動式の遊牧民学校は、1カ所につき約10日間の授業を行う。ロシア連邦の義務教育に加え、エヴェンキ族の伝統や言語、アイデンティティを伝えるカリキュラムを実施し、魚釣りやトナカイの捕まえ方も実地で教えているのだった。
「世界のはしっこ、ちいさな教室」は、シベリアの雪深い遊牧民のキャンプ、ブルキナファソにある熱帯のへき地の村、バングラデシュのモンスーンで水没した農村地帯を舞台に、3人の先生と学びに目覚めた子どもたちを描いた作品。識字率アップが国家の使命であるブルキナファソの新人教師で、2人の子どもの母でもあるサンドリーヌ、バングラデシュ北部のボートスクールで、子どもや女性の権利を守るために戦う若きフェミニストのタスリマ、広大なシベリアに暮らす現役の遊牧民でエヴェンキ族の伝統の消滅を危惧するスヴェトラーナの3人を追う。
【作品情報】
世界のはしっこ、ちいさな教室
公開中
配給:アルバトロス・フィルム
© Winds - France 2 Cinéma - Daisy G. Nichols Productions LLC - Chapka - Vendôme Production