フランス人監督ホラー「海の底からモナムール」 桐山漣インタビュー 「日本の”ザ・ホラー”」と異なる魅力語る

映画スクエア

 セーラー服の幽霊の純愛を描くホラー映画「海の底からモナムール」から、主演の桐山漣さんのインタビューが編集部に到着した。「貞子」「呪怨」の日本 2 大ホラーに出演している桐山さんが、フランス人監督が演出した「海の底からモナムール」について、日本のホラーとの違いや見どころなどを語った。

「海の底からモナムール」は、10年前にイジメを苦にして崖から飛び降りたミユキが、タクマに「ただ愛されたい」という一心で、17歳のままの姿で幽霊となる。そして10年後、高校卒業後初めてタクマたちが島を訪れ…というストーリーの作品。桐山さんは、タクマ役を演じている。監督を務めるのは、エリック・ロメール監督作品の音楽など多岐に渡って活躍するフランスのロナン・ジルさん。従来のホラー映画の幽霊とは違う、普通の少女と同じセーラー服を着た見た目で、性欲もある幽霊を生み出した。


Q. 『貞子』『呪怨』日本 2 大ホラーを制覇している桐山さんですが、フランス人監督の本作は、今までご出演された日本のホラーとどう違いましたか?

日本のザ・ホラーっていうようなホラーではないという違いがあります。『貞子』であったら幽霊である貞子、『呪怨』で言ったら伽椰子や俊雄くんとかがお化けとしてのルックス・容姿であるのに対して、本作のミユキは、ちゃんと人間の形をしています。白塗りだったり髪の毛が前に垂れていたり、要は怖がらせるような容姿ではないことが大きな違いだと思います。
あと、この二大ホラーはこの世に対しての怨念だったりの元動いている霊だと思いますが、本作のミユキに関して言うと、もちろん怨念はあるかもしれないけれど、「愛されたい」「愛して欲しい」という欲望の元動いている霊なので、そういった面では大きな違いがあると思います。
写真のカメラを構えたら、レンズ越しにはミユキが映っているけれど、生では見えないだとか、ミユキがカオルの体を借りて動いていて、ふっと見たらカオルがミユキだったりだとか、具体的に怖がらせるシーンもありましたが、それだけではなく、そこだけに終始していない映画だなと思いました。

Q. 監督はフランス人でしたが、文化の違いは感じましたか?

「日本人だったらこうします」というのは話しました。ミユキが行方不明という張り紙が地面に落ちているというシーンですが、フランス人の感覚で言うと、拾い上げてそれを捨てるというのは普通なのかもしれないけれど、タクマの感覚で手に取ると、とても捨てることはできないなと思い、監督に話しました。

Q. ミユキ役の清水くるみさんとの共演はいかがでしたか?

2回目だったので、「おう、久しぶり」みたいな感じでした。相手役の方が歳が若いと気を使ったりしますが、めちゃめちゃ話しやすいし、さっぱりしているので、変に気を使うこともなく、そのままで接しられました。

Q.彼女・カオリ役の三津谷葉子さん、地元の友達・マツ役の前野朋哉さん、その彼女・トモヨ役の杉野希妃さんと4人で島に行く話ですが、4人のチームワークはいかがでしたか?

チームワークはばっちりでした。後にも先にもこれだけチームワークのいい掛け合いは、数える位です。(監督が書いたフランス語の台本から)直訳になっている台本を口語のセリフに直す作業って、そもそも役者がする作業ではないじゃないですか。そのまま台本通りセリフを言うことは可能だけど、より良くしようという意思が一つだったからこそ、その作業をみんなでやることができたと思うし、みんなで一丸となって一つになれたからこそなので、みんなに感謝しています。

Q.本作の見どころをお教えください。

なかなかない不思議な設定です。幽霊が人間を海に引きずり込んだりとか、ストローを使って生き血を吸うというものが、日本人の感覚にはないような、いい意味でぶっ飛んでいる描写だと思います。生き血を吸うことによって温かさを感じるという、日本のホラーの描写ではないようなシーンが含まれていますし、単純にホラーというジャンルだけでは収まりきらないような純愛の映画でもあると思うので、そういったところが見所だと思います。

Q. これから見る方にメッセージをお願いします。

ホラーと思って見ないで欲しいと思います。恋愛要素が含まれているのでいい意味で日本人が想像するホラー映画ではないと思います。もちろん幽霊の不気味さや怖いシーンもあるんですけれど、日本人が作っているホラーではないから、ホラーに関しての怖がらせ方の感覚がちょっと違う。だからこそ違和感があって面白いと思ってもらえたら嬉しいです。

海の底からモナムール
12月4日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー
配給:アルミード
© Besoin d’Amour Film Partners
 

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