石井裕也監督 演出家として手応え 「生きちゃった」で「傲慢になっちゃった」

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石井裕也監督 演出家として手応え 「生きちゃった」で「傲慢になっちゃった」

 

 映画「生きちゃった」の初日舞台挨拶・トークセッションが、10月3日に都内で行われ、石井裕也監督、出演者の仲野太賀さん、大島優子さん、若葉竜也さんが登壇。仲野さんらの迫力あふれる演技を撮影できたことに石井監督は、「演出家としてはここまでの芝居が撮れたら傲慢にならざるを得ないというか。傲慢になってしまった。なっちゃった」と手応えを語った。

 舞台挨拶で石井監督は、「本当の姿、本当の迫力みたいなものを見たい。今回の映画は、特に仲野さんと若葉さんのラストシーンや大島さんのラストシーンで、そういうものを追求した」と語った石井監督は、それぞれのラストシーンを振り返り、「実力のある俳優が本気を出した時の姿っていうのが想像しきれなかった。僕も正直引きました」と振り返った。
 
 大島さんについては、「すさまじいエネルギーを秘めてる人。なかなかいないと思います。ここまでのパワーを持ってる人というのは」と賞賛。10代の頃から知っているという仲野さんについては、「太賀も立派になりましたね。さっきの話を聞いてても、こんなに立派なことをしゃべる人だったの?」「中野太賀の時代が来ましたよね。向こう5年は彼の時代。映画を極める。燦然(さんぜん)と輝くというんですかね」と褒めちぎり、「そんなところでいい?」と仲野さんに確認を求めていた。
 
 また、「原点回帰」「至上の愛」のテーマについて石井監督は、映画が「愛と衝動と魂」だけで作られていた時代があったが、良い面も含めて商業的な要素などが入ってきた状況を語り、「もう1回その本質に立ち返るべきというような、ちょうどそういう時期だったと思うんですよね」と語った。
 
 最後のあいさつでは、「91分という短い尺の間なんですけど、ものすごい圧があって、たぶんお疲れになったんじゃないかと想像しています。僕も完成した映画を見てすごく疲れたんで。でも3人の素晴らしい俳優たちの迫力、熱気みたいなものがこの映画に充満していると思う」と語り、「疲労感が取れたら何度でも見に来ていただいて、こういう言い方すると恥ずかしいんですけど、人に勧めていただきたいなと思います」と控えめにアピールした。

 「生きちゃった」は、幼なじみである厚久、武田、奈津美の3人を軸に展開される物語。結婚して5歳の子どもがいる厚久と奈津美だったが、奈津美が別の男性と体を重ねていることが明らかになる。別れることになった厚久と奈津美を、武田が見守る。そんな歯車が狂った3人の姿が描かれていく。石井裕也監督が脚本も手がけ、プロデューサーも兼ねている。ユーロスペースにて公開中。


■作品情報
「生きちゃった」
監督・脚本:石井裕也
出演:仲野太賀、大島優子、若葉竜也

10月3日(土)より、ユーロスペースにて公開
配給:フィルムランド
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