食を通して浮かび上がる福島のいま ドキュメンタリー「ロッコク・キッチン」公開決定

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食を通して浮かび上がる福島のいま ドキュメンタリー「ロッコク・キッチン」公開決定

 ノンフィクション作家・川内有緒と、映画監督・三好大輔が共同監督したドキュメンタリー「ロッコク・キッチン」が、2026年2月14日より全国順次劇場公開されることが決まった。

 2011年に発生し、多くの人々の日常を奪い、福島の地に深い爪痕を残した東日本大震災。それから年月がたち、福島の被災地には、帰還した住民、移住してきた人、仕事や復興のために訪れる人など、多様な背景をもつ人々が混じり合いながら新たな生活を刻んでいる。「ロッコク・キッチン」は、川内有緒と三好大輔が、東京と福島をつなぐ国道6号線(通称「ロッコク」)を車で旅し、原発被災地でツアーを企画するインド人女性のスワスティカ・ハルシュ・ジャジュさん、「おれたちの伝承館」を運営する写真家・中筋純さん、夜だけオープンする本屋「読書屋 息つぎ」の武内優さんの“キッチン”を軸に、その日常や人生を軽やかに描き出す。

 ノンフィクション作家・川内有緒と映画監督・三好大輔が共同監督を務め、川内がインタビューと構成を担い、三好が映像撮影を中心に担当した。本プロジェクトは、ドキュメンタリーだけでなく、川内のノンフィクションエッセイにもなっている。2024年10月より文芸誌「群像」でスタートした連載を収録した書籍版「ロッコク・キッチン」は、第35回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した。

 川内有緒と三好大輔のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■共同監督 川内有緒
震災から時を経たある日、避難指示が解除されたばかりの暗い町に、たった一軒だけ灯りがもれる家がありました。あの家の人はいま夜ご飯を食べているのだろうか――。それから、「みんな、なに食べて、どう生きてるんだろ?」という問いと共に、ロッコクを駆け抜けてきました。人と人が出会い、一緒に温かいスープを飲む。それは、当たり前に見えて当たり前ではありません。一度全ての光を失ったこの地に来るたびに、人とのつながりの儚さを思い、それでも人生の中で出会えた喜びで胸がいっぱいになります。ぜひ本作を見ていただけたら嬉しいです。

■共同監督 三好大輔
東日本大震災が起こり世界も自分も変わった。放射能から逃げるように東京から長野に移住したけれど、これでいいのか?という思いがずっと燻っていた。そんな原発事故でさえ、時間が経てば記憶が薄れていく。忘れることは簡単だ。でも忘れたくない。訪れるたびに変化する町で、そこに暮らしている人たちと出会い話をし、ご飯を食べながらカメラをまわし続けた。想像を遥かに超える生き方に心が震えた。あぁ、この人たちのあるがままを伝えたい。共に過ごした時間を忘れないために。

【作品情報】
ロッコク・キッチン
2026年2月14日(土)ポレポレ東中野、3月6日(金)シモキタ - エキマエ - シネマ『K2』ほか全国順次公開
©ロッコク・キッチン・プロジェクト

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