”ハーフ”と呼ばれる2人の青年 アイデンティティーの模索描く 「WHOLE/ホール」10月公開

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”ハーフ”と呼ばれる2人の青年 アイデンティティーの模索描く 「WHOLE/ホール」10月公開

 人種の異なる両親の間に生まれた子供を意味する”ハーフ”と呼ばれる2人の青年を描いた映画「WHOLE/ホール」が、10月25日より劇場公開されることが決まった。

 「WHOLE/ホール」を監督する川添ビイラルと脚本・主演の川添ウスマン兄弟は、”ハーフ”の偏ったイメージに違和感を抱き、日本で普通に暮らしている”ハーフ”を主人公にした映画を作ることを決意。同じく日本生まれで日本育ちのサンディー海に出会い、”ハーフ”という言葉に批判的な春樹役に起用した。タイトルの「WHOLE/ホール」は、半分の意味を持つ”ハーフ”の言葉に対して”全部”の意味を持つ。

 サンディー海は、「この映画は複雑な思いを抱えて生きる二人が、出会い、ぶつかり合うことで、自らの意味を模索し、成長していく青春物語です。是非とも劇場でご覧ください」とメッセージを寄せている。

 ”ハーフ””の日々の生活を通して、アイデンティティーや日本社会に対する複雑な気持ちを描いた本作は、第14回大阪アジアン映画祭でJAPAN CUTS Award スペシャル・メンションを受賞。北米最大の日本映画祭であるニューヨークのJAPAN CUTSやソウル国際映画祭に正式出品された。

 公開された予告編では、日本に居場所のない気持ちを抱える春樹の姿、周囲とうまくやっているように見える建設作業員の”ハーフ”の青年・誠(川添 ウスマン)との出会い、父親と向き合うことができない誠の抱える葛藤などが描かれている。

【コメント】

■サンディー海

「ハーフ」という言葉は、違う言語では違う言い方だったり、違う意味を持ちます。例えば英語でHalfは半分という意味になるため、よくMixed (混ざっている)という言葉を使います。そのためハーフという呼び名を批判する人もいます。春樹もその言葉を批判している一人です。彼は日本で幼少時代を過ごした時に、「ハーフ」であることでいじめにあって、家族にも否定された経験があります。しかし、誠という別の人生を生きた「ハーフ」の人に出会い、彼の持っていたアイデンティティーが揺さぶられるのです。

この言葉に正解があるかはわかりません。もしかしたら正解がないのかもしれません。この映画はそういった複雑な思いを抱えて生きる二人が、出会い、ぶつかり合うことで、自らの意味を模索し、成長していく青春物語です。是非とも劇場でご覧ください。
  
【作品情報】
WHOLE/ホール
2021年10月15日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
配給:アルミード
© 078

  • 作品

WHOLE/ホール

公開年 2019年
製作国 日本
監督  川添ビイラル
出演  サンディー海、川添ウスマン、伊吹葵、菊池明明、尾崎紅、中山佳祐、松田顕生
作品一覧