2025年7月19日より劇場公開される、写真家としてこれまで二十冊以上の写真集や著書を出版し、「水になった村」「オキナワへいこう」などのドキュメンタリー映画を製作・監督してきた大西暢夫による、長編ドキュメンタリー映画の最新作「炎はつなぐ」の、特報とメインビジュアルが公開された。
特報は、ハゼの木の実から抽出した蝋を混ぜるシーンから幕を開ける。そのほか、さまざまな職人の仕事が断片的に挿入され、1本の和ろうそくが出来上がっていく過程の一端が収められている。メインビジュアルには、墨職人の仕事場の光景がメインに、下方には和紙、灯芯草、真綿から作れた和ろうそくの灯芯の写真を採用。「ゆらぐ和ろうそくの炎は、消えて土に還り、そしてまた灯る―」のコピーが添えられている。
「炎はつなぐ」は、大西暢夫監督がライフワークとして15年以上にわたり取材を続けてきた、日本全国150カ所以上の職人たちの中から、30カ所に絞り込んで長期取材を敢行し、最終的に14人の職人たちの技を映画にまとめた作品。
お蚕さんと呼ばれる養蚕農家、蝋の原料となるハゼの実を収穫するちぎりこさん、ハゼ蝋職人、藍染職人、藍染用の藍を生産するすくも職人、和紙の原料であるミツマタを栽培する農家、和紙職人、和紙職人が漉いた極薄の和紙を使って金箔を打つ金箔職人、仏具に金箔を漆で貼り高級仏壇に仕上げるヌッシャと呼ばれる塗師、その漆を集める漆かき職人、灯芯草から和ろうそくの芯をとり出す灯芯引き職人、灯芯を燃やして煤を集めて墨を作る煤職人、蚕からとった生糸を何重にも重ねて真綿の布団を作る真綿職人、そしてこうした職人たちの手を経て集められた材料を使い、1本の和ろうそくを作る和ろうそく職人まで、日本の技術と文化を底辺で支えてきた伝統工芸の職人技が、謎解きのようにつながり、最後に和ろうそくの炎のゆらぎの意味が明かされる。
1本の和ろうそくを作るまでに、全国の職人たちがそれぞれのパーツを作り、それらの廃材すらも人々の生活の道具として再利用される。“循環する日本の伝統工芸”がどのように今も息づいているのかという問いを抱え、大西暢夫が日本全国を駆けめぐった旅の記録にもなっている。
【作品情報】
炎はつなぐ
2025年7月19日（土）よりポレポレ東中野ほかロードショー 以降全国順次
配給：シグロ
© 2025 シグロ/大西暢夫
