岨手由貴子が監督を務め、岸井ゆきのが主演、浅野忠信が共演する、川上未映子の同名小説の映画化作「すべて真夜中の恋人たち」が、2026年に劇場公開されることが決まった。川上にとって初の長編小説の映像化となる。
「すべて真夜中の恋人たち」は、人との関わりを拒み孤独に生きてきた主人公の冬子が、年上の男性・三束と出会い、自らの孤独や感情と向き合う物語の作品。原作は、2008年「乳と卵」で芥川賞、2019年「夏物語」では毎日出版文化賞を受賞した、川上未映子による初の恋愛小説「すべて真夜中の恋人たち」。2011年に発行され、国内累計発行部数40万部を突破。全米批評家協会賞小説部門に日本人初のノミネートを果たした。
フリーの校閲者で人との関わりを避けながら孤独な生活を送る主人公「入江冬子」を演じるのは、「ケイコ 目を澄ませて」で、第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞などを受賞した岸井ゆきの。作品のオファーを受ける前から原作小説のファンだったという岸井が、一人の男性と出会い、自らの孤独や初めて芽生えた感情と向き合う等身大の女性を体現する。
ひょんなことから冬子と出会い交流を深める物理教師「三束」を演じるのは、ドラマ「SHOGUN 将軍」で第82回ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞した浅野忠信。岸井とは初共演で、日常で偶然出会い、ささやかな幸せを共有しあう冬子と三束の繊細な距離感を表現する。
監督は、「あのこは貴族」以来約5年ぶりの長編映画となる岨手由貴子。女性の心の機微を丁寧に描いてきた岨手監督が、川上文学の繊細な物語を、徹底したこだわりと深い敬意で映像化する。
岸井ゆきのらのコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■岸井ゆきの
川上未映子さんの小説が大好きで、様々な媒体でお話しさせていただくほどでした。
『すべて真夜中の恋人たち』は、私の中であまりにも完成されていて、映画になることもその主人公を担うのも不安が大きく難しいと感じましたが、この物語が映像として立ち上がるとき、冬子として立っていたいと思いました。
大好きな原作の文字のイメージから抜け出すのには試行錯誤しましたが、目の前にいる監督やスタッフと今そこに在るものを信じて、16ミリフィルムに閉じ込めることが出来ました。
原作を愛するすべてのみなさまにもう一度冬子に出会っていただきたく、まだ冬子を知らないみなさまには、この世界を知ってほしいです。
■浅野忠信
『すべての真夜中の恋人たち』公開決定!とても嬉しいです!
三束さんという役を演じるにあたり、彼の秘密をとことん考えました。
しかしこの役をより確かなものにできたのは岸井ゆきのさんが演じる入江冬子さんがいたからです。
そして岨手由貴子監督に自分の作った三束さんを理解していただき共にフィルム撮影できる事でより深く作品を表現できたと思っています。
■監督・脚本:岨手由貴子
はじめて原作小説を読んだときのこと、岸井さんや浅野さんにお会いしたときのこと、ロケハン中や夜の会議室であれこれ構想したこと。そんなひとつひとつの断片が確かな線を結んで、ようやく一本の映画が完成しました。
映画をつくるたびに感じるのですが、企画段階から完成に至るまでに交わされたあらゆる会話が、いつも重要な気づきを与えてくれて、どこへ向かうべきかの道しるべになってくれます。
この素晴らしい原作に魅せられたスタッフ、キャストとの出合いが、映画『すべて真夜中の恋人たち』をつくりあげました。
公開までまだ少しありますが、多くの方に観てほしいし、この物語について話してほしい。
その日が待ち遠しくて仕方がありません。
■原作:川上未映子
世界中の読者から、この作品への心のこもった感想を受けとるたびに、まるで青白い炎にふれているような気持ちになります。岨手監督によって、そして岸井ゆきのさん、浅野忠信さんが演じる冬子と三束さんによって、その静かな熱はさらに濃く深くなり、文章では見ることのできなかった、知ることのできなかった、たくさんの感情や記憶に出会いました。みなさんに観ていただける日が今から楽しみでなりません。
【作品情報】
すべて真夜中の恋人たち
2026年 全国ロードショー
配給:ビターズ・エンド
©2026『すべて真夜中の恋人たち』製作委員会