望まぬ妊娠に直面した20歳の女性が主人公 女性の前にある壁を静かに見つめる 「石門」公開決定

映画スクエア

望まぬ妊娠に直面した20歳の女性が主人公 女性の前にある壁を静かに見つめる 「石門」公開決定

 “中華圏のアカデミー賞”と称される第60回台北金馬獎で、日本資本の映画として初めて「最優秀作品賞」を受賞した映画「石門(せきもん)」が、2025年2月28日より劇場公開されることが決まった。

 「石門」は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリンを主人公に、女性の前にあるさまざまな壁を静かに見つめた作品。2019年の中国湖南省・長沙市。単発の仕事で日々のお金を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしている20歳のリン。郊外で診療所を営んでいる両親は、死産の責任を求めて賠償金を迫られていた。ある日リンは、自分が妊娠1カ月であることを知る。子供を持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため、賠償金の代わりにこの子供を提供することを思いつく。

 監督は、中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治。中国と日本を拠点に活動する夫妻は、女性の性に関する問題をテーマに映画を共同制作してきた。封建的な湖南省の農村で出稼ぎをする両親と離れて抑圧された生活を送る14 歳の少女を描き、ロッテルダム映画祭タイガー・アワードを受賞した「卵と石」のほか、学校で没収されたスマホを売ったことで見知らぬ男たちと知り合うことになる16歳の少女を追った「フーリッシュ・バード」では、ベルリン国際映画祭ジェネレーション14+スペシャルメンション賞を授与された。「卵と石」「フーリッシュ・バード」に続き、ヤオ・ホングイが主人公のリンを演じている。

 両監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■ホアン・ジー
この映画の共同監督である大塚竜治は、私のパートナーであり、夫でもあります。ある日、彼が言いました。「10ヶ月間撮影しよう。」それは、妊娠から子供が生まれるまでの時間であり、この映画が生まれる時間でもあります。この映画が石の扉を開けて、日本の皆さんに届くことを嬉しく思います。

■大塚竜治
10カ月の撮影を終える直前にコロナが発生し、撮影は中断を余儀なくされました。その時、私たちは主人公のリンと同じように現実の中で迷い込み、出口を見失ってしまいました。しかし、最終的にその経験がリンの抱える痛みに寄り添い、彼女と共に重い扉を開くきっかけとなり、映画に新たな光を灯すことができました。ぜひ、映画をご覧ください。   

【作品情報】
石門
2025年2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋ほか全国順次公開
配給:ラビットハウス
©YGP-FILM

作品一覧