西川美和監督 作品の軸は「まだまだやり直しが可能だ」のセリフ 監督作「すばらしき世界」

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西川美和監督 作品の軸は「まだまだやり直しが可能だ」のセリフ 監督作「すばらしき世界」

 映画監督の西川美和が、最新作「すばらしき世界」のプレミア上映イベントに、出演者の役所広司、長澤まさみ、仲野太賀と登壇。撮影や作品などについて語った。

 主演の役所広司から「こういった題材で企画が通るのは、西川さんのこれまでの実績の賜物。脚本を読む前から参加したかった」「スタッフに意見を言わせる雰囲気を作るのが上手い方。みんなでシーンやキャラ  クターについて考えるような組でした。その空気作りは監督として素晴らしい才能だと思う」と称賛を受けた西川監督は、「10代の頃からの憧れの役所広司さんとご一緒できて幸せでした」と喜びの表情を見せた。

 本作は、第56回シカゴ国際映画祭で、役所がインターナショナルコンペティション部門にてベストパフォーマンス賞を、作品が観客賞を受賞。壇上ではシカゴから届いたばかりの受賞トロフィーと盾がお披露目された。観客賞受賞に西川監督は、「コロナ禍で海外のお客さんの前で上映が出来ず、リアクションもつかみづらかったので、受賞のお知らせをいただいたときは嘘じゃないかと…。でもこうやって海を渡ってトロフィーと盾が届いて良かった」と、受賞をあらためて実感していた。

 最後に西川監督は「出演者の皆さんが深く作品を読み込んでいて、作品の根っこにあるものを理解して作れたと思う。力のある俳優陣と優れたスタッフが丁寧に心を込めて作った作品です」と手応え十分。劇中のセリフ「まだまだやり直しが可能だ」というセリフを引き合いに出し「その言葉を今回の作品の軸にしようと取り組みました。今のご時世、世界にやり直しが可能なのか不安に思うこともあるかもしれないけれど、みんなでやり直していけるような社会に向かって歩いていけたらうれしい」とメッセージを送った。

 「すばらしき世界」は、直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」を原案とし、西川美和が監督・脚本を担当した作品。初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとにした作品を手がけ、舞台を約35年後の現代に置き換えて、徹底した取材を通じて映画化に挑んでいる。生きづらい社会の中で、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする実在の男と、彼を追う若きテレビマンのカメラを通して、社会と人間の「今」を描いている。

すばらしき世界
2021年2月11日全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©佐木隆三/2021 「すばらしき世界」製作委員会

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