映画「旅立つ息子へ」&「LITALICO 発達ナビ」コラボ座談会 障がいを持つ子と家族について語る

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映画「旅立つ息子へ」&「LITALICO 発達ナビ」コラボ座談会 障がいを持つ子と家族について語る

 子育てに人生のすべてをささげた父と自閉症スペクトラムの息子の逃避行を描く映画「旅立つ息子へ」と、発達が気になる子どもの保護者向けポータルサイト「LITALICO発達ナビ」がコラボしたオンライン座談会が、14日に実施された。座談会には、LITALICO発達ナビ編集長の牟田暁子氏、北海道大学名誉教授で児童精神科医の田中康雄氏、NPO法人ファザーリング・ジャパン メインマンプロジェクト・リーダーの橋謙太氏がリモートで参加した。

 「旅立つ息子へ」の感想について、橋氏は「単純に映画として面白かった」と語り、田中氏と牟田氏は「息子に対する父親の心象風景を描く映画は、日本では作る機会が少ないのではないかと思った」(田中氏)、「障がいのある保護者と子供がテーマで、父親がメインというのが日本に住んでいる自分にとっては新しく感じた」(牟田氏)と、本作の特徴について振り返った。

 劇中では、息子の将来を心配し、妻が施設に入れようとする場面が描かれている。今からできる「子供の自立」が話題になると、田中氏は「家族が持っている自立のイメージがあり、考えながらサポートする。自立をゴールにすると、途中経過が辛くなってしまう。今できることを重ねる果てに、目的地があると考えれば良いのではないか」と語り、牟田氏も「将来のことを逆算して子供のためを思ってやってしまうが、先のことのために我慢をさせすぎるのもどうかとハッと気づいた」とコメント。自閉症スペクトラムの高校3年生の娘を持つ橋氏は「4月から娘が就労する。自立はお子様の状況でも違う。まずは目の前の子供が楽しんで生きているか。子育てしていて大事にしていることが、結果として娘の人生の糧になると思っている。そういったことを考えて先を見つめること」と語った。

 ほかにも、コロナ禍での子育ての悩み、障がいを持つ子の保護者のキャリア、今後の社会のあり方など、映画を通じてさまざまな意見が交わされた。座談会の様子は、「旅立つ息子へ」を配給するロングライドの公式YouTubeチャンネルで視聴できる。

【作品情報】
旅立つ息子へ
2021年3月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
配給:ロングライド
©︎ 2020 Spiro Films LTD.

  • 作品

旅立つ息子へ

公開年 2020年
製作国 イスラエル、イタリア
監督  ニル・ベルグマン
出演  シャイ・アヴィヴィ、ノアム・インベル、スマダル・ヴォルフマン
作品一覧