しがみつくようにナオミの胸に抱かれる男 慈愛の表情をたたえたナオミ 「痴人の愛」ポスター

映画スクエア

しがみつくようにナオミの胸に抱かれる男 慈愛の表情をたたえたナオミ 「痴人の愛」ポスター

 増村保造らが映画化してきた谷崎潤一郎の同名小説の新たな映画化作「痴人の愛」の劇場公開日が2024年11月29日に決まり、ポスタービジュアルが公開された。

 ポスタービジュアルでは、しがみつくようにナオミの胸に抱かれる主人公・河合譲治と、原作小説で描かれた奔放な女性像とは異なる、慈愛の表情をたたえたナオミの姿が捉えられている。

 「痴人の愛」は、かつてシナリオコンクールで受賞したものの、いまだプロデビューを果たせずにいる脚本家志望の男・河合譲治(大西信満)と、美しい女性ナオミの物語。店で働きながら俳優を目指しているというナオミに、「シナリオ講座の講師」と勘違いされた譲治は、苦笑しながらも自身の身の上を明かす。やがて譲治は、シナリオ講座の講師の代わりに、谷崎潤一郎の「痴人の愛」を原作とした脚本を書くことになる。脚本執筆に苦戦する中で、譲治はナオミと再会し、2人の関係は急速に近づいていく。だがそれは、ナオミと執筆との間で身を引き裂かれる、狂おしい時間の始まりだった。

 監督は、2023年に同じく谷崎潤一郎の「卍」の監督・脚本を務めた井土紀州。「卍」で長編映画デビューを果たした脚本家・小谷香織と再タッグを組む。主人公の河合譲治役を務めたのは、映画初出演・主演作「赤目四十八瀧心中未遂」や、「キャタピラー」などの大西信満。ヒロイン・ナオミ役を、20歳で「ミス・インターナショナル2016」日本代表選出大会に出場した奈月セナが演じ、原作小説において最も有名なシーンである”馬乗り”も見せている。

■大西信満(河合譲治役)
移ろいが激しい世の中で、原作が書かれてから100年の年月を経ても変わらない何かを探りながら撮影していたような気がします。
当時とはまた違う現代の窮屈さの中、無意識に身に纏った枷のようなものを嫌というほど感じながら、自分自身を解き放つ作業でした。
どうかこの作品が一人でも多くの方に届きますように。

■奈月セナ(ナオミ役)
最初にお話を頂いた時は沢山の原作ファンがいるこの作品の世界観を守りながら
ナオミをどう表現したらよいのか考え、監督とご相談させていただきながら令和版ナオミを演じさせて頂きました。
ナオミに対してみなさま色んな解釈をお持ちだと思いますが、素直で執着を持たない自由な彼女の生き方に現代を頑固に生きていた私自身はとても支えられていました。
役を演じることの醍醐味を初めて感じた作品でもあります。
どうか皆様には譲治さんとナオミの関係を覗いてそして見守って頂けると幸いです。

■井土紀州(監督)
『痴人の愛』を映画化するという話が持ち上がって以来、ずっと僕の心をとらえて離さなかった問題。それは、ナオミという女がどんな姿をしているのかということでした。
脚本家とシナリオを作りながらも、そのことを考えると悶々とした気持ちになる毎日。ところが、奈月セナが目の前に現れると、僕の煩悶は一瞬にして吹き飛びました。
たぐいまれな容姿に艶のある声、そして謎めいた雰囲気。
彼女は目の前にいるはずなのに、本当は存在しない夢の女のようでした。
撮影が始まると、被写体としての奈月セナの存在感は抜群で、ナオミというヒロインを見事に体現していました。
映画がクランクアップし、彼女と会うこともなくなった今、僕は思うのです。
彼女は現実には存在せず、夢の中やスクリーンの中だけに生息するマボロシだったのではないかと。

【作品情報】
痴人の愛
2024年11月29日(金)より池袋シネマ・ロサ他で全国順次公開
配給:マグネタイズ
©2024「痴人の愛」製作委員会

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