2025年7月25日より劇場公開される、2023年のサンダンス映画祭で最優秀演技賞(ワールド・シネマ・ドラマティック部門)を受賞した映画「MELT メルト」から、本ビジュアルと日本版予告編が公開された。
本ビジュアルは、涙を流す13歳のエヴァが捉えられている。何かにおびえたような目、不安と恐怖が入り混じった表情とあわせて、「溶けるまえに思い出して。」という意味深なキャッチコピーが添えられている。
予告編では、冒頭から「13歳の夏休みに起きた―人生を変えた出来事」という不穏なワードにはじまり、「女の子が必要だ」「シラケさせるなよ」といったエヴァと幼なじみの交わす意味深なセリフが飛び交う。ただならぬ空気が漂うなか、過去と現在が交錯していく様子が描き出されている。
「MELT メルト」は、女優として20年以上のキャリアを持つベルギーのフィーラ・バーテンス監督による長編デビュー作。ブリュッセルでカメラマン助手の仕事をしているエヴァは、恋人も親しい友人もなく、両親とは長らく絶縁している孤独な女性だった。そんなエヴァのもとに⼀通のメッセージが届く。エヴァの少女時代に不慮の死を遂げた少年ヤンの追悼イベントが催されるというのだ。そのメッセージによって13歳の時に負ったトラウマを呼び覚まされたエヴァは、謎めいた大きな氷の塊を車に積み、故郷の田舎の村へと向かう。それは、自らを苦しめてきた過去と対峙し、すべてを終わらせるための復讐計画の始まりだった。
大人のエヴァを演じたのは「トリとロキタ」のシャーロット・デ・ブリュイヌ。13歳のエヴァを繊細に体現し、サンダンスで賞を得たローザ・マーチャントは、本作が長編映画デビュー作となる。バーテンス監督は、不安定に揺らめくカメラワークを多用し、閉塞感が渦巻く映像世界を構築。トラウマを専門分野とする心理学者の協力を得て、人間の心の痛みや孤独という普遍的なテーマを探求した。
一足先に本作を鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■YOU(タレント)
あの頃って とにかく眩しかった みたいに言うけれど
その眩しい光の影といったら 漆黒で残酷で怖かったんだ
■内藤瑛亮(映画監督)
13歳の少女の心が破壊される。
壊した者には居場所があるのに、壊された者は居場所もない。
理不尽過ぎる。
でも現実だ。
覚悟して観て欲しい。
悪い予感はすべて当たる。
■ゆいちむ(映画好きOL)
思春期に刻まれた毒は、記憶の雪解けとともに現実を侵食する。
これは復讐譚なのだろうか。
むせかえるほどの孤独と絶望が、それすらも曖昧にしてしまう。
■氏家譲寿(ナマニク)(文筆業・映画評論家)
心の瘕は化膿する。
癒えることはなく、膿を垂れ流しながら、瘴気を放ち続ける日々。
壊死していく心の先にある、冷たい終幕。足元に感じた冷たさに、思わず指先がこわばった。
■枝優花(映画監督・脚本・写真家)
子供たちのなかで繰り広げられる
大人には見えない地獄がジワジワと続く時間
そしてそれを例え心の奥底に葬ったとしても
水面下で時間をかけ
その人間の心も生活も蝕み溶かしていく様を
こちらに刻みつけるような痛みがあった。
これを反面教師、のような簡単な言葉では
片付けられない。
【作品情報】
MELT メルト
2025年7月25日(金)、新宿武蔵野館他全国順次公開
配給:アルバトロス・フィルム
©Savage Film - PRPL - Versus Production-2023