戦禍のウクライナの真実 過去と未来で描く 「アトランティス」「リフレクション」公開決定

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戦禍のウクライナの真実 過去と未来で描く 「アトランティス」「リフレクション」公開決定

 ウクライナのヴァレンチン・ヴァシャノヴィチが監督・脚本・撮影・編集・製作を手がけた映画「アトランティス」と「リフレクション」が、6月25日より劇場公開されることが決まった。

 「アトランティス」は、2019年のヴェネチア国際映画祭でオリゾンティ部門作品賞、2019年の東京国際映画祭で審査委員特別賞を受賞し、2020年の米アカデミー賞長編国際映画賞のウクライナ代表に選ばれた作品。ロシアとの戦争終結から1年後の2025年。戦争で家族を亡くし、唯一の友人も失った孤独な主人公セルヒーが、兵士の遺体発掘、回収作業に従事するボランティア団体の女性との出会いをきっかけに、生きる意味と向き合っていく姿を描く。死に覆いつくされた世界を漂流する生のはかなさとそこに芽生えた愛の尊さを、サーモグラフィー・カメラで映し出す。

 「リフレクション」は、2021年のヴェネチア国際映画祭でコンペティション部門に選出された作品。クリミア侵攻が始まった2014年。従軍医師のセルヒーは、東部戦線で人民共和国軍の捕虜となり、悪夢のような非人道的行為を経験する。やがて首都キーウに帰還したセルヒーは、娘ポリーナとの触れ合いなどにより、失われた日常を取り戻そうと苦闘する。戦争と平和、生と死、肉体と魂、そして贖罪と、多義性に富んだ内容の作品となっている。

 これまでウクライナがたどってきた過去と、これからのウクライナがたどるであろう未来を映し出した2作。これまで日本で劇場公開されなかったが、「ウクライナ映画人支援上映 有志の会」によるクラウドファンディングで目標額を上回る金額を集め、3月に東京・渋谷のユーロスペースとユーロライブにて3日間にわたり上映された。今回は、全国で順次公開される予定。

 ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチは、全編をウクライナ手話で描いて高く評価された「ザ・トライブ」に製作・撮影・撮影で参加。2月のロシア侵攻以降、戦禍の現実を撮影していると伝えられている。

【作品情報】
アトランティス
2022年6月25日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:アルバトロス・フィルム
©Best Friend Forever

リフレクション
2022年6月25日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
配給:アルバトロス・フィルム
©Arsenal Films, ForeFilms

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