忍び寄る影 ドアを閉められ断たれる逃げ場 目の前の女性は何者なのか 「侵蝕」本編映像

映画スクエア

 2025年9月5日より劇場公開される、韓国実写映画初登場ナンバーワンを記録したスリラー映画「侵蝕」から、本編映像の一部が公開された。

 本編映像は、息を潜めたような静寂で幕を開ける。ともに眠るヘヨンとおばさんを一瞥したミンは、何かを探すためヘヨンの部屋に侵入する。しかし、ゴミ箱をあさるミンの背後には知らないうちにヘヨンが立っている。気づかれたミンは、動揺しつつ「眠れなくて、あんたは?」と強気で話しかける。後ろ手でドアを閉めるヘヨンに、逃げ場は完全に断たれてしまう。ミンはついに「あんたは誰?本物のパク・ヘヨンは死んでる」と伝えるのだった。

 「侵蝕」は、水泳インストラクターとして静かな生活を送るヨンウンと、7歳の娘ソヒョンの物語。ソヒョンの奇妙な行動によって日常が次第に崩れ始め、彼女の小さな手が巻き起こす恐怖は日に日に増してゆき、母娘の関係は闇に包まれていく。クォン・ユリ(少女時代)、クァク・ソニョン、イ・ソル、キ・ソユらが出演。第29回釜山国際映画祭のコリアンシネマトゥデイパノラマ」部門に公式招待され、韓国実写映画として初登場1位を記録した。

忍び寄る影 ドアを閉められ断たれる逃げ場 目の前の女性は何者なのか 「侵蝕」本編映像

 本作を一足先に鑑賞した著名人によるコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■韓国ドラマ好きのだらだら子(韓国作品ライター)
身震いしてしまうような112分。
怖さや息苦しさを感じたのは序章に過ぎず、更なる展開が待ち受ける。
この映画、後味がヤバすぎる!!!

■近藤亮太(映画監督)
物悲しくも不穏な家族のドラマと意外性に満ちたスリラー。
“おそろしい子供”モノとして始まった物語は幾度となく印象と様相を変えていく。何かがおかしい。でも何が?
違和感の正体が明かされたとき、あまりにシンプルでピュアな動機に虚をつかれた。

■崔盛旭(映画研究者)
過去の記憶がない者と過去を偽っている者、大事な日常を「侵蝕」しているサイコパスは果たして誰なのか。
息の詰まるような展開の末、その全容に後から気づいた時、観客に残るのは戦慄そのものである。
本作は民主化以降、韓国映画が追求してきた“暴力”の現在地を示しているとも言えるだろう。

■SYO(物書き)
きっと観賞中、何度も何度もなぜ?と思い、疑うだろう。
彼女がそうなった理由を僕らは求め、探し続けてしまう。
歩み寄り、理解したいから――わからないのは怖いから。
でも彼女は彼女でしかない。最初からずっと変わらない。
泡沫に帰すとも独り信じて手を伸ばす母の愛、その悲哀。

■末廣末蔵(ジャンル映画大好きツイッタラー)
容赦が無いでお馴染みの韓国映画がまたやった...とんでもない”怪物”を創り出してしまった...
7歳少女の愛くるしさを細やかに捉えつつも、その許容を遥かに超える”邪悪さ”までも存分に描き切る非道さ。害悪を巻き散らす少女はやがて大人にまで成長と、どこまでも観客を許してくれそうに無い。こうなったら地獄の果てまで見届けよう...その先にある安寧を少しだけ信じて...だけどそれはきっと...嗚呼...

■内藤瑛亮(映画監督)
倫理観がすっぽり抜け落ち、残忍な衝動を抱えた少女に恐れおののく一方で、彼女の苦悩が伝わり、悲哀が心に響き、最終的な決断には解放感を覚えてしまった。
フィクションでしか許されない後ろ暗い感動だ。

■人間食べ食べカエル(人喰いツイッタラー)
よくあるサイコキッズ枠と思いきや、もっと複雑でやり切れない話だった。周りを傷付けてしまう少女。娘に追い詰められる母親。限界を迎えてからの、更にその後に待つ地獄絵図。母と娘の行く末が、鉛のように重い感情を残してくれました。画面にはあまり出てこない父親たちがロクデナシなのは想像に難くない。

■東紗友美(映画ソムリエ)
疑心暗鬼に、どんどん蝕まれていく。
そう、侵蝕されていたのは私の心だったのだ。
痛みをごまかさず、恐怖に真正面から対峙する。
子どもの純真、母親の母性、そして母と子の絆さえも否定する。
ここにあるのは、ただ絶望だけ。
これこそ韓国スリラーの真骨頂。
どこまでも容赦はない

■mikoザウルス(韓国映画沼の住人)
ごく当たり前の道徳観が身につかず、動物的本能のままに行動する子どもが、「もし自分の子どもだったら」「自分の子どもと同じクラスだったら」「隣人だったら」「大人になったら」と次々想像させられ、足元が崩れていくような恐怖に襲われる。〈侵蝕〉されるのは、紛れもなく私たち観客だ。

■レイナス(「ホラー通信」ライター)
「地獄のような映画だ……」
のっけからそう思わされ、その絶望がどんどん色濃くなっていく。
ここで描かれる無垢な邪悪さと、それを駆り立ててしまう人間の弱さに、既視感を覚えるのがなんとも恐ろしい。
観終わっても続く苦々しい後味が、この映画の醍醐味だ。

【作品情報】
侵蝕
2025年9月5日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:シンカ
© 2025 STUDIO SANTA CLAUS ENTERTAINMENT CO.,LTD. All Rights Reserved.

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