全編をノイズが覆う不穏な予告編 頭に受信機と信じる統合失調症の男描く「クリーン、シェーブン」

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 8月27日から劇場公開される、幻覚幻聴に悩まされながらも娘を探し続ける統合失調症の男を描いた映画「クリーン、シェーブン」の、予告編が公開された。

 公開された予告編は全編をノイズで覆われ、頭に受信機、指には送信機が埋め込まれていると信じている主人公ピーターの混乱と不安を疑似体験するような作りとなっている。震えながらタバコを吸う、指先を見つめる、トマトを切るといった何でもないようなシーンにも不穏な空気が漂う。そこに“娘に会う。望みはそれだけだった。”の文字が映し出されたあと、少女の遺体、「こんな夏はもうこりごり 普通じゃないわ」とつぶやく女性の口元、繰り返される“聞こえるか”の言葉、さらに挿入されるフラッシュカットが不穏さを加速させる。

 日本制作の予告編は、ロッジ・ケリガン監督が自ら確認し、監督によるフレーム単位の繊細かつ神経質な修正を経て完成した。

 「クリーン、シェーブン」は、撮影監督としてフレデリック・ワイズマンに師事し、ナショナルジオグラフィックやミュージックビデオで撮影を行ってきたロッジ・ケリガンが、1993年に発表した作品。娘を探し続ける統合失調症の男の姿を抑制されたトーンで映し出した哀しく陰鬱なサスペンスで、ロッジ・ケリガン監督が約3年を費やして完成させた。頭に受信機、指には送信機が埋め込まれていると信じているピーターを、「パルプ・フィクション」「ユージュアル・サスペクツ」のほか、近年では「テスラ エジソンが恐れた天才」にも出演しているピーター・グリーンが演じている。

 スティーヴン・ソダーバーグ、ダーレン・アロノフスキー、ジョン・ウォーターズといった監督たちから表現性を絶賛された本作は、日本では1996年に劇場公開されたが、その後は見ることのできない幻の作品となっていた。

全編をノイズが覆う不穏な予告編 頭に受信機と信じる統合失調症の男描く「クリーン、シェーブン」

【作品情報】
クリーン、シェーブン
2021年8月27日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
配給:アンプラグド
© 2006 Lodge Kerrigan. All Rights Reserved.

  • 作品

クリーン、シェーブン

公開年 1993年
製作国 アメリカ
監督  ロッジ・ケリガン
出演  ピーター・グリーン、ロバート・アルバート、ミーガン・オーウェン、ジェニファー・マクドナルド
作品一覧