中西舞監督によるスリラーの短編オムニバス映画 「LABYRINTHIA/ラビリンシア」公開決定

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中西舞監督によるスリラーの短編オムニバス映画 「LABYRINTHIA/ラビリンシア」公開決定

 バラエティ誌が選ぶ新鋭日本人監督10人に選ばれた中西舞監督による、短編オムニバス映画「LABYRINTHIA/ラビリンシア」が、2025年8月15日より劇場公開されることが決まった。

 「LABYRINTHIA/ラビリンシア」は、アジア各国(韓国・台湾・日本)で撮影された短編スリラーで構成されたオムニバス映画。第一話「SWALLOW」、第二話「HANA」、第三話「告解」からなる。監督を務めた中西舞は、企画コンペなどで認められ、本作の「SWALLOW」「HANA」を、「哭声/コクソン」「哭悲/THE SADNESS」などに参加したアジア各国の実力派スタッフを率いて撮影。「告解」では、和田光沙が主演し、芦澤明子が撮影監督を務めた。監督の最大の特徴はジャンル映画を志している点で、本作でも日常に潜む闇などが描き出されている。

 中西舞監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【中西舞監督 コメント】

 幼い頃、ホラーの魅力に初めて触れた瞬間がありました。小学校低学年のとき、父の VHS で観たヒッチコック監督の『サイコ』に心を奪われ、その衝撃は今も鮮明に残っています。同級生たちを家に招いて鑑賞会を開き、彼らの悲鳴を聞きながら密かに喜んでいたあの瞬間こそ、ホラーというジャンルが私の創作の核となった始まりでした。

私がホラー映画に惹かれるのは、平穏な日常の陰に潜む恐怖や不安を映し出せるからです。一見穏やかに見える日常の裏側にも、言葉にできない恐れや抑え込まれた声がひそんでいます。ホラーというジャンルは、そうした沈黙を打ち破り、見えないものや封じ込められた叫びをあえて浮き彫りにし、強く響かせる力を持っていると私は感じています。

ジャンル映画、なかでもホラーという“視点”を通して作品をつくるという行為は、私たちが普段つい目をそらしてしまう現実や、社会で見過ごされがちな感情やテーマに光を当て、それを語るための一種の闘いだと考えています。

『SWALLOW』では、女優たちの競争を通じて浮かび上がる弱肉強食の世界、美と若さに囚われた執着心、そして終わりなき成功と名誉への欲望の連鎖を描いています。『HANA』では、精神的にも肉体的にも交わることのできない、切なく歪んだ親子関係と、その陰に潜む深い絶望を静かに見つめました。そして『告解』では、社会の中でこぼれ落ちた弱者が、逃げ場のない不安と消えぬ過去に呑み込まれていく様子を描きながら、その終わりなき悲しみの螺旋をすくい上げています。

ホラーという“視点”は、単に恐怖を与えるだけでなく、私たちが普段は目をそらしがちな真実をそっと照らし、新たな理解や共感を生み出す力があると感じています。だからこそ私は、このジャンルの持つ可能性を信じて、誰もが抱える内なる闇に静かに光を当て続けたいと考えています。そして同時に、ジャンルが秘める力を信じながらも、その創作の根底には、みんなをちょっと怖がらせて楽しみたいという、あの小学生の頃の私が今も変わらずひょっこり顔を出して、こっそり笑っている気がします。

中西舞監督によるスリラーの短編オムニバス映画 「LABYRINTHIA/ラビリンシア」公開決定

【作品情報】
LABYRINTHIA/ラビリンシア
2025年8月15日(金)より テアトル新宿、テアトル梅田、アップリンク京都、ほか全国順次公開
配給:インターフィルム
©SAWLLOW FILM PARTNERS.©2018 HANA ©CONFESSION Film Partner.

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