ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドの実体験に基づく自伝的小説の映画化作「フィリップ」が、2024年6月21日より劇場公開されることが決まった。
「フィリップ」の主人公は、ポーランド系ユダヤ人フィリップ。1941年、ワルシャワのゲットーで暮らすフィリップは、ナチスによる銃撃によって、恋人のサラや家族、親戚を目の前で殺されてしまう。2年後、フィリップはフランクフルトにある高級ホテルのレストランでウェイターとして働いていた。自身をフランス人と偽り、戦場に夫を送り出し孤独にしているナチス将校の妻たちを次々と誘惑することで、ナチスへの復讐を果たしていたフィリップは、やがて、知的な美しいドイツ人のリザと出会い、愛し合うようになる。だが、戦争は二人を引き裂いていく。
レオポルド・ティルマンドによる原作は、ポーランド当局の検閲により大幅に削除されたものが1961年に出版されたが、発刊後すぐに発禁処分となり、2022年にオリジナル版が出版された。監督は、1990年代よりテレビプロデューサー兼演出家としてキャリアを重ねたミハウ・クフィェチンスキ。21世紀以降はポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督作品のプロデューサーとして、「カティンの森」「ワレサ 連帯の男」「残像」の製作を務めた。
ミハウ・クフィェチンスキ監督は、映画化の理由について、「ポーランドで愛する人を亡くしたユダヤ人の主人公は、そのような状況下で何を感じるでしょうか? 私はティルマンドの本を心理的で緻密な映画にし、トラウマから感情が凍り付いた男の孤独を研究することに決めました」と明かしている。
【作品情報】
フィリップ
2024年6月21日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国公開
配給:彩プロ
(C)TELEWIZJA POLSKA S.A. AKSON STUDIO SP. Z.O.O. 2022