菊地凛子、日本映画単独初主演 ノーメイクでロスジェネのリアル体現 「658km、陽子の旅」公開決定

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菊地凛子、日本映画単独初主演 ノーメイクでロスジェネのリアル体現 「658km、陽子の旅」公開決定

 「バベル」で米アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされ、その後も国際的な活躍を続ける菊地凛子の日本映画単独初主演映画「658km、陽子の旅」が、2023年に劇場公開されることが決まった。

 「658km、陽子の旅」は、青森県弘前市出身で42歳独身の陽子を描いた作品。夢破れ人生を諦め惰性で日々を過ごしていた就職氷河期世代のフリーター陽子は、かつて夢への挑戦を反対され20年以上断絶していた父が突然亡くなった知らせを受ける。従兄・茂の一家が葬儀のため弘前へ帰る車に無理やり乗せられ、しぶしぶ一緒に帰ることになる陽子だが、途中で茂の一家に置き去りにされてしまう。陽子は逡巡しながらもヒッチハイクで弘前に向かう。北上する一夜の旅での、さまざまな人々との出会いにより、時を止めていた陽子の心が動きだす。

 監督を務めるのは、2001年の劇場デビュー作「空の穴」で、当時新人の菊地をヒロインに抜擢した熊切和嘉。ヒッチハイクで東北を旅する主人公の陽子役を、「菊地凛子しかいない」とオファー。菊地は「自分を見出してくれた熊切監督ならば」とオファーを快諾した。菊地は、初冬の東北を舞台に過酷な状況に身を置く主人公を、全シーンノーメイクで演じ切り、ロスジェネ(ロスト・ジェネレーション)とも呼ばれるこの世代が背負うリアルを体現している。

 本作は、「嘘を愛する女」「哀愁しんでれら」などを送り出した映画オリジナル企画コンテスト「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM(TCP)」から生まれた。2019年に開催されたTCP2019脚本部門の審査員特別賞を受賞した室井孝介の脚本を元に、室井孝介(原案・共同脚本)、浪子想(共同脚本)、熊切監督が、現代を繊細に生きる“陽子”像をより浮き彫りにし、閉ざしていた陽子の心の動きに、震災の爪痕が残る東北の風景を重ねた内容へと昇華させた。

 菊地凛子、熊切和嘉監督らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■菊地凛子
「熊切和嘉監督には、20年前私が女優としてやっていけるか、不安だった時に『空の穴』ではじめて大きな役をいただきました。この作品をきっかけに私は俳優の道を行くことを決め『バベル』など海外の作品にも挑戦することが出来ました。この20年間、熊切監督が活躍されている姿や作品を拝見するたびに、自分はまた声をかけてもらえる俳優として成長できているのか、もしその時がきたら全力で熊切監督の作品にぶつかっていこうと思っていました。その思いが、形となって、この作品で、ついに叶いました。40歳台となった私の新たな道の節目として、この作品に参加できたことを何よりも誇りに思います。」

■熊切和嘉(監督)
「最初に出会った頃の菊地さんはまだ本名で活動されていて、僕ら映画を撮ってる仲間うちでの「妹分」みたいな存在でした。それがあれよあれよという間に国際的な映画俳優になって、活躍を嬉しく思う反面、もう二度と逢えないのかなと寂しくも感じていました。それがまさか、こうして20年ぶりに一緒に映画を作れるとは!毎日が新鮮で感慨深く、本当に夢のような撮影でした。」

■室井孝介(原案・共同脚本)
「最初は映画になるあてもなく、ただこの物語を形にしなければという思いで脚本を書いていました。まさか菊地凛子さん主演、熊切監督で実現するとは。劇場の大きなスクリーンで多くの人に見てもらえるのを楽しみにしています!」

【作品情報】
658km、陽子の旅
2023年 全国ロードショー
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2023「658km、陽子の旅」製作委員会

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