映画スクエア
美大で講師を務めながら独自の方法論を追求し、映画制作・上映を続けてきた、青石太郎監督による映画「Lilypop」が、2025年11月22日より劇場公開されることが決まった。実在の美大生の新奇な関係性から着想され、虚実の交錯を新たな観点で映した、ある愛の記録が描かれる。
「Lilypop」は、美大で写真を専攻しているりりかを描いた作品。最近は撮りたい被写体が見つからないりりかは、授業では以前に撮った同居人・エナの写真を提出した。エナは心の調子を崩し、ここしばらくは部屋に引きこもっている。2人の過ごす時間はバラバラで、かつての親密さを失いつつあった。ある日、りりかは街を歩くエナの“分身”と出会う。家に帰るとここにもエナがいる。謎に誘われ、2人は夜の街に繰り出す。分身をめぐる冒険は新たな出会いと別れを生み、気がつけば愛が対立する世界に。遠ざかった人たちの写真やメッセージに囲まれながら、りりかは見失った愛をまた探しに行く。
監督が授業を行う武蔵野美術大学で出会った、実在の美大生たちから着想を得て制作された。実際の関係性・実生活・制作物をもとに、自由で多感な時期における共生の喜びと困難の物語が書かれ、それを本人たちが演じている。撮影は数名のスタッフ、機材はiPhoneのみ(アフレコのため録音機材もなし)で行われた。出演者が実際に暮らしていた家が主な舞台となり、ある美大生の実態、コロナ禍の生活環境、早朝から深夜にかけての郊外の町の様子が、その状況を生きる者の目線、時間軸で撮られている。
【作品情報】
Lilypop
2025年11月22日(土)より、シアター•イメージフォーラム(渋谷) にて公開