生き別れた弟が持つ絶対音感 気づいたスター指揮者の兄 「ファンファーレ!ふたつの音」本編映像

映画スクエア

 2025年9月19日より劇場公開される、第77回カンヌ国際映画祭に正式出品され、第50回セザール賞では作品賞・主演男優賞など主要7部門ノミネートされた映画「ファンファーレ!ふたつの音」から、スター指揮者の兄ティボと生き別れた弟ジミーが、音楽によって打ち解けていくシーンの、本編映像が公開された。

 白血病を治療するためのドナー探しによって実の弟ジミーの存在を知った、世界的なスター指揮者のティボ。骨髄移植が成功し、元気になったティボはジミーのもとを訪れる。自分とは違う華やかな人生を歩いてきた兄に対して、学歴もなく学食で働くジミーは気おくれしているのか、二人の会話もどこかぎこちない。しかし帰り際に、ジミーがティボにあるレコードを手渡し、そのままジミーの部屋に立ち寄ると、そこにはジャズのレコードのコレクションがある。

 「昔から興味が?」「ジュスティーヌが生まれる前から。娘だ、写真が」と、ジミーに13歳の娘がいて、今は母親と一緒に住んでいることを知るティボ。そしてジャズが流れる中で、ジミーは「ガキの頃、ラジオを聴いていたら、トランペットの音がブッ刺さった。今でも耳に残っている。今考えるとマイルス・デイヴィスだった」と、自分のことを話し始める。

 その話に優しい表情で耳を傾けるティボ。そして不意に「何の音だった?」と尋ねると「シ♭」と答えるジミー。さらに「ちょっと低いな」「いやマイルスは気持ち低い」と即答していくジミーの様子に、何かを感じたティボは、外から聞こえてきたタクシーのクラクションの音を「これは?」と聞く。するとジミーは「和音だな ソ♯とシ」とよどみなく答える。さらにジミーの母が「ティボ」と呼ぶ声を「ソレ」と表した。「そうか」とティボはジミーに絶対音感があることを確信する。別のアルバムを手に「いやまだ帰れない」とさらに時間をともにする2人。音楽を通して、二人の仲がぐんと近づき、さらに弟のすごい才能に気づいたことで、ジミーとティボそれぞれの人生が変わっていくことを予感させるシーンとなっている。

 ティボ役のバンジャマン・ラヴェルネと、ジミー役のピエール・ロタンは初共演。バンジャマン・ラヴェルネは「俳優としてアプローチの仕方は異なりましたが、お互いリスペクトしあって共犯関係を築き、まさに映画の中の兄弟のようだったと思います」と振り返り、ピエール・ロタンは「僕らはどこか似ているところがあると思います。なんというか、同じ作りではないけれど、ベースが同じ」と語っている。

 「ファンファーレ!ふたつの音」の舞台は、舞台は北フランスの田舎町。クラシック界のスターとして圧倒的な人気を誇る指揮者のティボは、ある日突然白血病と診断され、ドナーを探す過程で自分が養子であること、そして生き別れた弟ジミーの存在を知る。兄のティボを演じるのは「セラヴィ!」などのバンジャマン・ラヴェルネ。弟のジミー役を、「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」などのピエール・ロタンが務める。監督・脚本は2020年カンヌ国際映画祭に正式出品され、ヨーロッパ映画賞コメディ作品賞を受賞した「アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台」のエマニュエル・クールコル。

【作品情報】
ファンファーレ!ふたつの音
2025年9月19日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:松竹
© 2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinéma

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