ゾンビになってもバズりたい 多様性の時代のゾンビとしての生き方描く 「噛む家族」拡大公開

映画スクエア

 第18回 田辺・弁慶映画祭で最高賞の弁慶グランプリ、観客賞など5冠を獲得した映画「噛む家族」が、2025年5月30日より池袋シネマ・ロサをはじめ拡大ロードショーされることが決まった。

 「噛む家族」で描かれるのは、人を見ると理性を失い、噛みついて感染させてしまうゾンビの家族。今まで人目につかないよう、家の中から一切出ることなく静かに暮らしていたが、外を知らない娘のために、父親は「人間と共存していきたい」「せめて自分たちを受け入れてほしい」と考えていた。ある日、家の前で起こった事故の被害者に娘が噛みついてしまったことをきっかけに、このままゾンビ感染者を増やしていこうと試みる父親。SNS上では、”多様性の時代”と一時は持てはやされるが、ゾンビ一家の炎上をきっかけに世論が変わっていく。

 1995年生まれの新鋭・馬渕ありさ監督が、理性を持ち合わせたあるゾンビの家族を軸に、SNSが普及した現代人の姿をユーモラスに描く。「劇場版 ほんとうにあった怖い話~変な間取り~」などの東杏璃、「うらぼんえ」などの阿部能丸のほか、登坂香代子、辻智輝らが出演している。

 馬渕ありさ監督は、「ここ10年ほどで、SNSと常に隣り合わせな生活になったことで、人が潜在的に持っている攻撃性を目にしやすくなったのではないかと感じています。毎日誰かしらがネット上で叩かれ炎上している中で、顔も見えない人々がじわじわと数を増して対象を追い詰めていく様子を今回ゾンビ映画の中で表現したいと思い、本来大勢で追い詰める側の”ゾンビ”という種族が少数派で、 多数派である人間に追い詰められるという構図で制作しました。直接顔を合わせることなく、一瞬で簡単に文字だけで攻撃できるのが当たり前になった社会で今一度自分たちを客観視して、滑稽に表現できていればと思います」と、コメントを寄せている。

【作品情報】
噛む家族
2025年5月30日(金)より池袋シネマ・ロサほか全国順次ロードショー
配給:ブロードウェイ
©︎2024 テロワール

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