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米大手製材工場をグループ化 海外初木材コンビナート事業を展開

メイン工場画像

~既存米国事業と相乗効果を発揮 さらなる事業拡大へ~

2025年7月3日
住友林業

 住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)は100%子会社のSumitomo Forestry America, Inc.(社長:岩崎 淳 本社:米国 テキサス州ダラス、 以下 SFAM社)を通じ7月1日、北米大手の製材会社Teal Jones Groupより、Teal Jones Louisiana Holdings LLC(以下、TJLH社)の持分100 %を取得、その子会社のTeal Jones Plain Dealing, LLC(以下、TJPD社)の持分57.05%を取得し連結子会社化します。これを核に当社初の米国木材コンビナート事業※1の展開を目指します。ルイジアナ州で住宅及び集合住宅向けのディメンション材※2などの製造とマスティンバー※3の製造も検討し、原木を余すことなく使い切るカスケード利用により木の価値を最大化します。既存の米国分譲住宅事業・不動産開発事業やFITP事業※4との相乗効果で米国市場での更なる事業拡大を目指します。

 

 

事業概要

  TJPD社がルイジアナ州に保有する約100haの広大な土地と工場を活用し、住宅に使用するディメンション材(構造部材)等を製造します。本工場では年間約1,000千m3の原木を投入し、一般的な米国住宅※5約14,000戸分に相当する年間約500千m3のディメンション材等の生産を計画。外部需要先への販売やFITP工場や分譲住宅事業、不動産開発事業など自社グループへの供給を予定しています。さらに敷地内の約40haの遊休地を活かし、今後需要の拡大が見込まれるマスティンバーの製造や木材製材品生産・販売を見据えます。製造過程で出たチップや製材残渣はバイオマス発電燃料やバイオリファイナリーなどへの利用も検討していきます。木材のカスケード利用により木材の価値を最大化し、米国での木材コンビナート事業の展開を目指します。

  TJPD社製材ライン    ディメンション材 

 

 

木材コンビナート事業図

 

特徴

【既存米国事業の強化】

 本工場周辺は当社が米国で住宅事業を積極的に展開するエリアの1つです。本工場の販売エリアにはテキサス州の中でも特に木材需要が高いダラスが含まれます。販売エリアやその周辺には住宅のパネル・トラス等の設計、製造、施工を行うFITP事業の拠点が複数位置しています。2027年には全米で現在の10工場から15工場以上に工場を増やす計画です。テキサス州は分譲住宅事業を行う4社ビルダーの内、DRB社、Bloomfield社が事業を展開し、同州の供給戸数は住友林業グループ全体の11,267戸のうち約40%を占めています(2024年12月期実績)。不動産開発事業はJPI社がテキサス州ダラスに本社を置き事業を展開。当社既存事業の需要地近郊という立地の優位性を活かし、FITPを通じて分譲住宅事業と不動産開発事業へ木材製材品を供給します。既存事業との相乗効果で米国市場での更なる事業拡大を目指します。原材料調達から木材製材品の生産・販売、住宅供給まで一気通貫したサプライチェーンの構築により当社グループのバリューチェーン「ウッドサイクル」を米国でも実現します。

 


 

【安定した原材料調達網】

 原材料のサザンイエローパイン(SYP)は製材工場が位置する米国南東部の在来種であり、同地域に幅広く分布しています。持続的な森林経営を通じて豊富な森林資源が蓄積されており、森林資源の成長予測と収穫可能量等の分析から、今後も蓄積量は増加する見込みです。本事業エリアの木材需要量は戸建て・集合住宅、DIY、産業資材など様々な用途を含め大きく、当社が住宅事業を展開するテキサス州の木材需要量は最大規模を誇ります。さらに米国は人口増加や住宅供給不足が継続しており今後も安定した住宅用木材製材品の需要が見込めます。

 

【外的要因に影響されにくい事業基盤の構築】

 本工場の原材料には米国産のSYPを使用するため、建築資材の高騰をもたらしたウッドショックや米国の関税政策などの外的要因に影響されにくい安定した原材料確保が可能です。米国現政権下では国内製造業の強化を重要視する傾向にあり、製材業を含む様々な産業分野で米国内生産比率の増加が進んでいます。米国内で生産する木材製材品のコスト競争力が高まることで本事業に追い風となる市場環境が創出されることが期待されます。

米国の移民政策により住宅業界全体の労働力不足や人件費高騰が懸念される中、FITP事業を通じ現場施工の省力化や安定的な資材供給・施工体制を確立し施工プロセスの合理化を進めます。本工場から製材を安定供給することで外部環境に影響されにくい既存事業の強化を図ります。

 

 

TJPD社 会社概要

名称

Teal Jones-Plain Dealing, LLC

本店所在地

Lafayette, Louisiana, USA

代表者

Teal Jones Louisiana Holdings LLC

(Teal Jones-Plain Dealing, LLCのManager)

設立年月日

2021年8月12日

事業内容

SYP材ディメンションランバー、デッキ材、角材などの製材事業

持分取得時の資本金

94百万USD(約139億円)※6

従業員数

94人(2025年6月末時点)

工場敷地面積

98ha(内、遊休地 約40ha)

商業生産開始時期

2025年8月予定

 

※1.木材コンビナート:木材利用から、エネルギー利用、ケミカル利用まで価値を高める木材活用を行い、長期の炭素固定を実現するもの。具体的には持続可能な森林から出材される原木を余すことなく使いきるカスケード利用ならびに低級材や端材の価値の最大化を実現するために木材加工事業の立ち上げを進めるもの。

※2.ディメンション材:「2x4(ツーバイフォー)材」をはじめとする構造用製材。主に木造枠組壁工法(2×4工法)による住宅に使用されている。

※3.マスティンバー:CLT等、複数の木材を組み合わせて成形した比較的質量や体積の大きい木材製品。

※4.FITP事業:Fully Integrated Turn key Provider事業。壁パネル・床・屋根トラスの設計から製造、配送、施工までをビルダーやデベロッパーに一貫して提供する事業。高品質な部材の安定的な供給、材工一貫の施工体制を確立し、施工プロセス全体の合理化を推進する。

※5.参照先: National Association of Home Buildersの調査報告書 "Survey on the Use of Wood Products in New Residential Construction" (2021年版)

※6.1USD=148.36 円(2025年3月6日時点)

 

 住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、自社のみならず社会全体の脱炭素に貢献することを目指しています。今後も建築での木材・木材由来素材の利用と他材料から木への代替を促進し、脱炭素化を加速させます。

作品一覧