2023年2月17日より劇場公開される、ヴェネチア国際映画祭で4冠を獲得した「おみおくりの作法」のウベルト・パゾリーニ監督による7年ぶり監督・脚本作「いつかの君にもわかること」から、本編映像の一部が公開された。
余命宣告を受けながらも、窓拭き清掃人として働き、たった一人で4歳の息子を育てる33歳のジョン(ジェームズ・ノートン)は、自分が死ぬ前に幼い息子・マイケルに新たな家族を見つけなければならなかった。同時に、まだ“死”を理解することができない息子に父親が死んでしまうことを伝える必要があった。映像では、公園で動かなくなった昆虫をマイケルが見つけ、父親に「歩かせて!」とお願い。言葉を選びながら“死”が悲しいことではないと説明するジョンだが、マイケルはそんなことより大好きなアイスクリームに興味を移してしまうのだった。
ウベルト・パゾリーニ監督は本作のトーンについて、「主要な登場人物はそれぞれ非常にドラマチックな状況を抱えているものの、小津安二郎、最近で言えば、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟の作品に見られるような、ストーリーに対し非常に繊細かつ“控えめ”な手法を用い、メロドラマや感情主義とは最大限距離をおくようしました。このアプローチを取ることで、様式的な華やかさから放たれた直球的な映画製作のスタイルに反映されている」と語り、また、「監督として本作品に臨む上で課題だったのが、非常に幼い子どもと撮影することと、真実味がある感動的な父子関係を演出することでした」と、演出の難しさも明かしている。
「いつかの君にもわかること」は、余命宣告を受けた父親と一人息子の“家族探しの旅”を描いた作品。窓拭き清掃員として働く33歳のジョンは、若くして不治の病を患い、余命はあとわずか。シングルファーザーとして男手ひとつで4歳のマイケルを育ててきた彼は、養子縁組の手続きを行い、息子の“新しい親”を探し始める。理想の家族を求め、何組もの家族候補と面会をするが、人生最大の決断を前に進むべき道を見失ってしまう。そんな彼は、献身的なソーシャルワーカーとも出会い、自分のふがいなさに押しつぶされそうになりながらも、息子にとって最良の未来を選択しようとする。
父親のジョン役を演じたのは、「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」のジェームズ・ノートン。わが子のために過酷な運命に立ち向かう姿を、寡黙な演技で体現。内面に抱える複雑な感情を表現している。息子のマイケル役は、100人以上に及ぶ候補者から見いだされた、本作がデビュー作となるダニエル・ラモントが務めている。ウベルト・パゾリーニ監督は、メロドラマや感情主義とは最大限に距離をおいた控えめな撮影手法を採用。敬愛する小津安二郎の影響を受けたという、余計な情景描写や登場人物の会話などを極力排する手法で、父子の心情の移ろいを丁寧に描き出している。
【作品情報】
いつかの君にもわかること
2023年2月17日(金)より YEBISU GARDEN CINEMA他 全国順次公開
配給:キノフィルムズ
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