セーラー服の幽霊の純愛を描くホラー映画「海の底からモナムール」の予告編が公開となった。予告編では、日本の従来のホラー映画の幽霊とは異なる、セーラー服を着た普通の少女と同じ見た目で性欲もある幽霊・ミユキの姿が描き出されている。また、ミユキがストローを使って眠っているカオリの鼻から血を吸うショッキングなシーンも収められている。
ロナン・ジル監督はショッキングなストローで血を吸うシーンについて、「『当たり障りのない日常的なアイテムが急に危険なものに変わるのが1番怖い』というアイデアから来ました。なので、本作で幽霊が使う危険な武器として、ストローを選びました」とコメントしている。また、出演者の1人である杉野希妃さんは、「劇中で重要な小道具となっているスプーンストローは『フランスにはないものだし、これはポップでかわいいから使いたかったんだ!これから物語が膨らんだよ』とニコニコ力説していた監督の姿が目に焼き付いています」と語っている。
「海の底からモナムール」は、10年前にイジメを苦にして崖から飛び降りたミユキが、タクマに「ただ愛されたい」という一心で、17歳のままの姿で幽霊となる。そして10年後、高校卒業後初めてタクマたちが島を訪れ…というストーリーの作品。タクマ役を桐山漣さん、ミユキ役を清水くるみさんが演じているほか、タクマの彼女・カオリ役に三津谷葉子さん、タクマとミユキの高校の同級生・マツ役に前野朋哉さん、マツの彼女・トモヨ役に監督・プロデューサーとしても活躍する杉野希妃さんが起用されている。
監督を務めるのは、エリック・ロメール監督作品の音楽など多岐に渡って活躍するフランスのロナン・ジルさん。溝口健二や増村保造の影響を受けたというジル監督にとっては念願の日本での撮影で、日本のキャストで全編日本語の作品となり、従来のホラー映画の幽霊とは違う、セーラー服を着た普通の少女と同じ見た目で性欲もある幽霊を生み出した。
■監督:ロナン・ジル コメント
タイトルを『海の底からモナムール』としたのは、本作の主な要素である「深い海」と「愛」の両方に言及したタイトルにしたかったからです。『モナムール』とカタカナにしたのは、私のフランス文化にも言及したかったからです。
瀬戸内海の海岸を訪れた時に、広島で撮影することにしました。瀬戸内海の海岸は夜、すごく特別な雰囲気があります。地元の方達が、それは、原爆の日に被爆し水に飛び込んだ方々の幽霊の存在だと言っていました。フランスでは幽霊の存在を感じることはありません。日本独特の存在なんです!
幽霊のミユキが血を吸うシーンは、「当たり障りのない日常的なアイテムが急に危険なものに変わるのが1番怖い」というアイデアから来ました。なので、本作で幽霊が使う危険な武器として、ストローを選びました。ストローを使って、幽霊は血以外に何を飲むでしょう?
ストローと同じように、本作の主人公の1人であるミユキは、物語が始まる高校時代は、当たり障りのない人物で、弱者です。彼女がモンスターになるのは、復讐が必要なほど酷い扱われ方をしたからなのです。
■撮影監督:ドミニク・コラン コメント
私はそれまで日本に行ったことがなかったので、撮影で1番こだわったのは、日本のバイブを全く新しいフィーリングとして捉えるということです。日本に行くことは私にとって夢でした。そして、第一印象というものが大抵ベストで偽りのないものだと思います。日本のチームとは共通言語がなくてもうまくいき、お互いを良く理解できました。というのも、私たちは「映画」という同じ家族の一員だからです。
日本の俳優たちはプライベートでは感情をあらわにしないですが、演技をするとすごく情熱的で、大変感心しました。
■トモヨ役:杉野希妃 コメント
ロケ地となった宇品の海辺に、「広島にこんなところがあったんだ!」と広島出身の私も驚きました。まるで秘密基地のようで。船が行ったり来たり、普段はおだやかな瀬戸内海なのに、夜は少し不穏な空気を纏い、テントが波に飲み込まれそうになりながらも月明かりがとても綺麗で、ミステリアスでロマンティックな場所でもありました。
フランス映画らしい海辺のバカンス、叶わない恋慕、ロナン監督のいじめ問題に対するまなざしが交差して、フランス人監督ならではの恋愛ホラー映画になったのではないかと思います。本作が過去の悲劇によって傷を負った男女の魂の邂逅と言えるのならば、アラン・レネ監督の『ヒロシマ・モナムール』と重なるのも偶然ではないような...。
劇中で重要な小道具となっているスプーンストローは「フランスにはないものだし、これはポップでかわいいから使いたかったんだ!これから物語が膨らんだよ」とニコニコ力説していた監督の姿が目に焼き付いています。楽しそうにワカメまみれにさせられたり...遊び心が満載で、チャーミングなロナン監督の言動に笑いの絶えない現場でした。斬新なローリングラブシーンは必見です!
海の底からモナムール
12月4日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにてロードショー
配給:アルミード
© Besoin d’Amour Film Partners