コロナ禍の役者たちの日常を切り取ったドキュメンタリー 三島有紀子監督「東京組曲2020」公開決定

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コロナ禍の役者たちの日常を切り取ったドキュメンタリー 三島有紀子監督「東京組曲2020」公開決定

 映画監督・三島有紀子によるドキュメンタリー映画「東京組曲2020」が、2023年5月13日より劇場公開されることが決まった。

 「東京組曲2020」は、コロナ禍の2020年4月22日に映画監督・三島有紀子が実際に体験したことを元に、20名の役者たちが各自撮影、その映像全体を三島が監修して作り上げたドキュメンタリー。NHK在籍当時はドキュメンタリー番組を手掛けていた三島監督にとって、NHKを退社してから初のドキュメンタリー映画となる。

 三島監督は、自身の誕生日だった2020年4月22日の明け方、どこからか人の泣き声が聞こえてきた時に、この映画の企画を思いついたという。「役者たちの暮らしぶりや感じていることを三島監督が引き出す形で共に作ること」「役者たちが自分もしくは同居人が撮影すること。(緊急事態宣言下、不要不急以外の外出自粛を余儀なくされるなか、日常を共にする同居人が撮影することは可とされた。情景カットなどは三島監督も撮影に参加)」「”明け方朝4時に女の泣き声がどこからか聞こえてくる”というシチュエーションをすべての出演者共通の出来事として描くこと」の3つのポイントのもとで撮影された。

 日々の日記をつけようと決めた男性、舞台が延期となり自宅で過ごすなかで家事に追われる女性、楽しみにしていた出演作品の映画の舞台挨拶が中止になった女性、自宅で一人黙々と仕事をする女性など、20人の役者たちのコロナ禍で過ごした日常が切り取られた作品となっている。

 三島監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】
2020年4月の日本では、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため緊急事態宣言が出され、ロックダウンの状態となりました。
気にも留めていなかった当たり前のことが、断層ごとずれていくような感覚に陥りました。ちょうど51歳の誕生日、居場所を求めてベランダに座り、ひと夜を明かしていると、明け方、どこからか、人間の泣き声=生の声が聴こえてきたのです。
その時、このコロナ禍で何を感じているのかが忘れ去られる前に、映像に残し記録として確認しようと考えました。それで、リモートで声をかけた役者のみなさんに、カメラをまわしてもらいました。集まってきた映像素材から垣間見えたのは、人間の弱さと人間が希求してやまないものは何かということでした。それは、私にとって「人間の再確認」という作業となったのです。それらをクラウドファンドに参加してくださったみなさまやたくさんのみなさまの応援のおかげで、映画というひとつの作品にすることができました。あれから三年、今、わたしたちは人間らしく生きられていますか? この映画を観た帰り道、ふと考えてもらえたら幸いです。

【作品情報】
東京組曲2020
2023年5月13日(土)より シアター・イメージフォーラム ほか全国順次ロードショー
配給:オムロ
©️「東京組曲2020」フィルム パートナーズ

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