本木雅弘と小泉今日子が撮影現場で見せる真剣な表情 「海の沈黙」メイキング写真

映画スクエア

本木雅弘と小泉今日子が撮影現場で見せる真剣な表情 「海の沈黙」メイキング写真

 倉本聰原作・脚本、若松節朗監督、本木雅弘主演の映画「海の沈黙」(公開中)から、ある事件を機に人々の前から姿を消した孤高の天才画家・津山竜次を演じた本木雅弘と、竜次のかつての恋人である安奈を演じる小泉今日子が、撮影現場で若松節朗監督と話す姿を捉えたメイキングカットが公開された。

本木雅弘と小泉今日子が撮影現場で見せる真剣な表情 「海の沈黙」メイキング写真

 本作では、脚本を書く時に登場人物の履歴を作るという倉本のこだわりにより、登場人物の出生、幼い頃の記憶から現在に至るまでの経歴の年表が、撮影前にそれぞれのキャストへ渡されたという。本木雅弘演じる津山竜次の履歴には、竜次が絵を描くきっかけや彫り師になった背景、ヨーロッパにいた頃の出来事などが書かれ、小泉今日子演じる田村安奈の履歴には、画家の父についてや竜次や夫・田村修三との出会いなどが書かれていた。生い立ちなど劇中では直接描かれない背景を含めて人物を設定されていることが、ドラマにリアリティを与えている。

 倉本聰が長年に渡り構想を練った脚本は、1959年に国の重要文化財に指定された永仁時代作とされた壺が、じつは加藤唐九郎という現代陶芸家の作品とわかり、61年に重要文化財指定を取り消され、価値が暴落した「永仁の壺事件」がモチーフとなっている。「美は利害関係があってはならない」という一節が座右の銘の一つでもある倉本は、永仁時代の作でないとされた途端に価値がなくなることに、これまでこの壺のどこが、誰にどう評価されていたのか、その顛末が不思議でどうしても納得がいかなかったという。その気持ちが、“贋作”というモチーフを得てこのドラマに結実している。

 「海の沈黙」は、人々の前から姿を消した天才画家が秘めてきた思い、美と芸術への執念、そして忘れられない過去を描いた作品。世界的な画家、田村修三(石坂浩二)の展覧会で、展示作品のひとつが贋作(がんさく)とわかる。この絵を描いたのは人物についての報道が加熱する中、北海道・小樽で女の死体が発見される。この2つの事件の間に浮かび上がった男は、かつて新進気鋭の天才画家と呼ばれるも、ある事件を機に人々の前から姿を消した津山竜次(本木雅弘)だった。

 かつての竜次の恋人で、現在は田村の妻・安奈(小泉今日子)は小樽へ向かう。もう会うことはないと思っていた竜次と再会する安奈、竜次に長年仕える謎のフィクサー・スイケン(中井貴一)、贋作事件を追う美術鑑定の権威・清家 (仲村トオル)、全身刺青の女・牡丹(清水美砂)、竜次を慕うバーテンダー・アザミ(菅野恵)のドラマが、“真の美”を求め続ける竜次の思いと交錯していく。

 「前略おふくろ様」「北の国から」「やすらぎの郷」など数々の名作ドラマを手がけてきた倉本聰が長年にわたって構想し、「どうしても書いておきたかった」と語る渾身のドラマを、「沈まぬ太陽」「Fukushima 50」などを手がけた若松節朗がメガホンをとり映画化。孤高の画家・津山竜次を本木雅弘が演じ、小泉今日子、中井貴一、石坂浩二、仲村トオル、清水美砂、菅野恵、萩原聖人、村田雄浩、佐野史郎、田中健、三船美佳、津嘉山正種が共演する。

【作品情報】
海の沈黙
全国公開中
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2024 映画『海の沈黙』INUP CO.,LTD

作品一覧