北斎の不屈の人生描く「HOKUSAI」 1年越し公開決定 柳楽優弥「2021年という今だからこそ」

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北斎の不屈の人生描く「HOKUSAI」 1年越し公開決定 柳楽優弥「2021年という今だからこそ」

 江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎を描いた映画「HOKUSAI」が、5月28日より劇場公開されることが明らかになった。昨年公開の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。1年越しの公開となる。

 「HOKUSAI」は、現在まで世界中に影響を与えている葛飾北斎が、抑圧に負けずに“表現の自由”を求めて自分の道を貫く姿を描く。青年期の北斎を柳楽優弥が、老年期を田中泯が演じている。北斎に目をつける蔦屋重三郎を阿部寛が、柳亭種彦を永山瑛太が、歌麿を玉木宏が、北斎の妻・コトを瀧本美織が、高井鴻山を青木崇高が演じる。

 新公開日決定に柳楽優弥は、「2021年という今だからこそ、この作品をご覧いただき、より一層、北斎の持つ力強さやパワーを感じて頂くことができるのではないかと思います」とコメント。田中泯は、「実際に皆さんがご覧になる北斎はかなりスゴイです。楽しみにしていてください」と語っている。

 あわせて公開された予告編では、若き日の北斎が「北極星にちなんでつけたんだ」と名前の由来を語る姿、幕府の厳しい弾圧の中でも屈しない姿などが切り取られており、90年の生涯で3万点以上の作品を描いた北斎が、生涯を通じて強い信念を持ち続けた人物であったことが描き出されている。

【コメント】

■柳楽優弥(青年期・北斎役)

●コロナの影響により、約1年後の今年5月28日公開に決定した本作。公開間近される本作への今のお気持ちをお聞かせください。

柳楽:2020年に(僕自身の作品も)延期が続いたので、少し悔しい思いもあったのですが、2021年という今だからこそ、この作品をご覧いただき、
より一層、北斎の持つ力強さやパワーを感じて頂くことができるのではないかと思います。ぜひ多くの方にご覧頂きたいです。

●本作の持つメッセージは、この時代だからこそ響くものだと思うのですが、「いまだからこそ伝えたい」ことは?

柳楽:世の中の色々なことが様変わりしている中、僕自身もまた新たに一つずつ積み重ねて、ニューノーマルを作り出して行かなければと感じています。
北斎の持つ力強さ、目標や夢に向かって自分を信じ突き進んでいく力は、今この時代においてとても必要なエンターテイメントの力になるのではないかと思います。今この時代を生きる人たちの背中を押してくれるような北斎の強い信念とエネルギーを感じて頂けたらと思います。

●映画をご覧になる方へのメッセージ

柳楽:“目標や夢に向かって突き進んでいっていい”ということを、北斎は物凄いエネルギーを持って突き進んで証明していたのだと思うし、その生き様から勇気をもらえると思います。映画『HOKUSAI』は、皆さんの背中を押せるような作品になっていると思いますので、ぜひ劇場でご覧頂きたいです。

■田中泯(老年期・北斎役)

●コロナの影響により、約1年後の今年5月28日公開に決定した本作。公開間近される本作への今のお気持ちをお聞かせください。

田中:撮影中の興奮は、いまだに僕の中に残っていてたくさんのことが思い出されます。いよいよ今年5月に公開ということになりました。
たくさんの人たちが見てくださる、そしてその感想をみんなが話しあい、だべり、つまみにされるかもしれませんが、そんなことで人々の言葉の中に北斎がまた生き返ってくるというか、生まれてくるといったらいいのか、そんなことが起きると思います。北斎は本当に憧れの素晴らしい男です。
そして演じているのが僕ということが本当に不思議な話で、こんなことが現実に起こるんだなっていまだに驚いています。
でも、実際に皆さんがご覧になる北斎はかなりスゴイです。楽しみにしていてください。

●本作の持つメッセージは、この時代だからこそ響くものだと思うのですが、「いまだからこそ伝えたい」ことは?

田中:映画の中でも北斎は、自分が生きている時代を「こんな時代」「いやな時代」だと言っています。
現在、世界中で悶々とし、ムカムカとし、そして落ち込み、今私たちはとても苦しい時間のまさにその渦中にいるわけです。北斎は、そうゆうものに対して立ち向かったわけです。常識破りでもあったと思います。一人の人間が90歳になろうとしているのにもっともっと生きたい、まだまだやることがある、死にたくないとはっきり思う。これは今でも僕たちはほんとに見習わなきゃいけないと思います。生き生きと死んでいくというか、死ぬまで生き生きとしてそして死んでいく。でもどんなに計画的に生きていても、なかなか思い通りにはならない。数年経てば、こうだと思っていたものも自分の中で壊れ、あるいは自分でぶち壊し、常に生まれ変わるようにして生きている。北斎は、家を変え名前を変え生きていた。あるいは彼の眼に見えるものも変化していったかもしれない。でも、一人の人間としてこれが当たり前なんだと、僕は強く言いたいと思います。
たしかに北斎は天才だと思いますが、天才だから出来たのではなく、自分が最も生き生きと感じるその生を生きるべきだということです。これは架空のことでもなく見果てぬ夢でもない。僕たちは自分を卑下することなく、夢を追いかけ続けることだけで、もっと生き生きとしていられるはずです。
自分も、そんなにもういつまでも生きられるわけじゃない。でもやっぱりダラダラと生きたくはないと思っています。
ほんとに好きなことを探し、やらなきゃならないことを自分に課して生きていくようなことを、北斎みたいにやってみたいと思っています。

●映画をご覧になる方へのメッセージ
田中:とにかくがんばって生きましょう!
想定外なんて言葉はもういらないです。想定外なんてもうこれから延々と続くと思うんです。
僕は、人類全体が大冒険をしなきゃならない時代にさしかかっていると思います。
一人の人間の生きる生き方みたいなものがもっともっとたくさんになって、それで世の中が動いていったらスゴイだろうなって思います。
本当は、人間分だけ生きるパターンがなくちゃいけないはずなんです。そしてお互いを尊敬したり、しっかりと保護したり、あるいは激励しあって、
生きていけるようになったらすごくいいんじゃないかなって思います。映画を見ていただければ、皆さんにも絶対わかっていただけると思うんですが、北斎は「ちがう!人間はそんなもんじゃない!」っていうようなことが、毎日のように自分の中でうごめいていたんだろうと思います。
その北斎が、歳を取っても変わらず生き続けられた。これはもうどう考えたって憧れるしかないじゃないですか。でも単に憧れるだけじゃなく、自分の中に一体何がムカムカするものとしてあるのかっていうのは、皆さんと一緒に考えてみたいし、あるいはこの映画からみなさんが一体何を受け止めるのかっていうのはものすごく大事なことのような気がしています。なんせ北斎ですからね。スゴイです。
 
【作品情報】
HOKUSAI
2021年5月28日公開
配給:S・D・P
©2020 HOKUSAI MOVIE

  • 作品

HOKUSAI

公開年 2020年
製作国 日本
監督  橋本一
出演  柳楽優弥、田中泯、永山瑛太、阿部寛、玉木宏、瀧本美織、津田寛治、青木崇高
作品一覧