近年、公開時に期待されたほどの成績を残さなかったものの、再評価を受けて、ウン十年ぶりに続編製作やリメイクが決定したというような話がよく出てくる。中にはさすがに止めた方がいいのではという企画もあるが、現代のハイクオリティな技術でなら見てみたいと思える作品も少なくない。キアヌ・リーヴスが主演した2005年のホラーアクション『コンスタンティン』も、そんな一本だ。『スピード』(1994)や『マトリックス』(1999)の大ヒットでトップスターになったキアヌを主演に配したことで、ヒットは約束されたようなものだったが、全米ではまさかの苦戦を強いられ、全米興行成績は7590万ドル。海外の方が受け入れられ、1億5490万ドルを稼ぎ出した。日本でも27億円超えの大ヒットで、その年の洋画の11位を記録した。
原作はDCコミックスの『ヘルブレイザー』。天界と人間界と地獄の3つの世界に分かれる世界で、天界と地獄は、ハーフ・ブリードと呼ばれる中間的な存在を人間界に送り込み、人間界の状況を見張っていた。そんな中、悪魔払いを生業とするジョン・コンスタンティンは、人間界を征服しようとしているサタンの息子マモンの陰謀に対峙することになる。
監督は、本作の後、ウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』(2007)や『ハンガー・ゲーム2』(2013)以降、シリーズ全作を監督しているフランシス・ローレンス。共演はカギを握る女刑事マディソンにレイチェル・ワイズ。その他、シャイア・ラブーフ、ジャイモン・フンスー、ティルダ・スウィントンなどが出演。中でもルシファーを演じる名優ピーター・ストーメアの怪演は、クライマックスを大いに盛り上げてくれる。
全米での公開時、不発に終わったのは、観客のアクション大作疲れと、同時期に公開されたラブコメの大ヒットが重なったなど、様々な要因が考えられる。だが、今、改めて見直すと細部まで凝った世界観、違和感のないVFX、スケール感あふれる映像など、見どころが山盛りだったことに驚かされるだろう。公開時、まだ鑑賞年齢に達していなかった世代が、『ジョン・ウィック』シリーズ(2014~)などをきっかけに本作を再評価するのも納得できる。
そんな本作が、先日、製作20周年を記念して4K UHDでリリースされ、再び姿を現した。冒頭、鏡を使った悪魔払いのシーンや、大量の虫が変異して襲ってくる場面など粗が見えると思ったVFXシーンも迫力満点で、特にパパ・ミッドナイトという元エクソシストが経営するハーフ・ブリード用のクラブでの色彩が見事だった。赤い照明がまぶしいほど輝き、HDR効果が大いに発揮されている。また劇中、何度も暗転する場面があるので、そうした黒の沈みも以前のBDとは別世界だ。
音声面ではドルビーアトモスになったことで、コンスタンティンと悪魔との対決シーンはより派手になり、冥界を訪れるシーンでは嵐の音に周囲が包み込まれる。キアヌの声を森川智之が担当した日曜洋画劇場版のテレビ吹替も収録しているのは、ファンには嬉しいところだ。
特典では新規収録の「天罰の20年」が面白い。フランシス・ローレンスがまだミュージックビデオのキャリアしかなかったため、キアヌ・リーヴスがなかなか首を縦に振らなかったことや、キャスティングについて語られている。
まだ正確な公開日はアナウンスされてはいないが、そんなに遠くない未来に公開されるであろう続編の準備としても、観ておいた方が良い本作。是非ベストの状態で楽しんでもらいたい。
関連記事:最新おすすめホラー映画はこれだ! 【飯塚克味のホラー道】
飯塚克味(いいづかかつみ)
番組ディレクター・映画&DVDライター
1985年、大学1年生の時に出会った東京国際ファンタスティック映画祭に感化され、2回目からは記録ビデオスタッフとして映画祭に参加。その後、ドキュメンタリー制作会社勤務などを経て、WOWOWの『最新映画情報 週刊Hollywood Express』の演出を担当した。またホームシアター愛好家でもあり、映画ソフトの紹介記事も多数執筆。『週刊SPA!』ではDVDの特典紹介を担当していた。現在は『DVD&動画配信でーた』に毎月執筆中。TBSラジオの『アフター6ジャンクション』にも不定期で出演し、お勧めの映像ソフトの紹介をしている。
【商品情報】
『コンスタンティン』デジタル配信中
【初回限定生産】日本語吹替音声追加収録版 4K ULTRA HD&ブルーレイセット8,580 円(税込)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメント
© 2005 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.