コロナ禍を機に独学で作り始めた短編アニメ「MAHOROBA」が、ぴあフィルムフェスティバルなどで多くの賞を受賞した鈴木竜也監督が、たった1人で、1年半を費やし描き上げた長編デビュー作「無名の人生」が、2025年5月16日より劇場公開されることが決まった。
「無名の人生」は、いじめられっ子の孤独な少年が、父親の背中を追ってアイドルを目指すところから始まる物語。生まれてから死ぬまでに蔑称や源氏名などいくつもの呼称で呼ばれた主人公の波乱に満ちた100年の生涯を、高齢ドライバーや芸能界の闇、若年層の不詳の死、戦争など、今まさにわれわれが直面する社会問題を背景に、全10章で描き切ります。鈴木監督がたった一人で描き上げた本作は、章ごとにタッチも色彩も変化。変幻自在なアニメーションとなっている。
2024年5月にセカンドアルバム「明暗」をリリースし、2025年3月には東京・WWW Xでワンマンを開催。卓越したスキルで叙情的・哲学的なラップを放っているラッパーのACE COOLが、鈴木監督たっての希望で主人公の声を務めている。
鈴木竜也監督らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■鈴木竜也(監督・原案・作画監督・美術監督・撮影監督・色彩設計・キャラクターデザイン・音楽・編集)
まさか、実家で1人で描いてた映画にACE COOLさんが声を当ててくださるとは。まさか、通っていた武蔵野館さんで自分の作品をがっつり上映していただけるとは。
でもその「まさか」を起こしたくて、スクリーンへの夢と野望をハチマキみたいに巻きつけながらブッ描いた93分。僕は絵が特別うまいわけでもないし、アニメの技術にもあまり自信はありません。がしかし、100人かかっても作れない内容と、1000人観ても予想できない結末を描けたという、度を超えた自尊心があります。とにかく多くの方に観に来ていただきたい一心です。どうか、よろしくお願いします。
■ACE COOL(主演)
この度、主⼈公の声を演じさせていただきました。 私自身、普段ミュージシャンとして活動をしているのでこの映画のお話をいただいた時は大変驚き、声優初挑戦の私に主役が務まるのかという不安もありました。ですがある日鈴木監督本人からメールで熱いメッセージをいただき、飛び込んでみようと決心しました。 鈴木監督のアニメーションや独特のペースで展開される物語は日本のアニメ作品ではあまり⾒たことのない感覚でした。鑑賞後お客さんがどのような感想を持つのか、この作品に関わった一人として今から楽しみです。
■岩井澤健治(本作プロデューサー)
『無名の⼈⽣』は鈴木監督の人生と想像を凝縮してドリップされたこれ以上ない濃度で作られた壮大でミニマムな映画です。
至極個人で作る究極の創造性の行き着く先を 是非とも劇場で体感していただけますと幸いです。
■西島 新(新宿武蔵野館 番組編成担当)
『音楽』で共闘し想像を遥かに超える事跡を残して下さり、以来絶大な信頼を寄せているお二人である、岩井澤監督と宣伝プロデューサーの平井さんから「こんな逸材が居る」と、鈴木竜也さんと『無名の人生』をご紹介いただきました。
この段階でほぼ即決でしたが、未完成版を拝見し、成程その画のタッチや物語の独創性に触れたことでより確信しました。
きっと多くの方がまだ触れられたことのない、未開拓のジャンルの作品だと思うので、どんな風にお客様に受け⽌めていただけるか、今からとても楽しみです。
【作品情報】
無名の人生
2025年5月16日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:ロックンロール・マウンテン
©鈴木竜也