スタイリッシュな映像美と流れるようなストーリーで、「鬼才」と称賛されるガイ・リッチー。時代を超えて多くの若者たちを魅了してきた、ガイ・リッチーの監督した映画を全作品紹介します（短編や一部参加だけの作品などは除いています）。
1968年、イギリス出身。イングランド王エドワード1世の末裔にあたる家柄に生まれています。アメリカン・ニューシネマの代表的な作品である「明日に向って撃て！」に多大な影響を受け、子どもの頃から映画監督を目指していました。15歳で学校を辞め、1993年にスタジオの雑用として映画界入り。その後、才能を発揮してCMやミュージックビデオの監督を務めるようになりました。
1995年に20分の短編映画「The Hard Case」を監督。後に「X-MEN: ファースト・ジェネレーション」を監督する、親友のマシュー・ヴォーンとSKAフィルムを立ち上げます。初の長編監督作品「ロック、ストック＆トゥー・スモーキング・バレルズ」が世界中で評価を集め、2作目の「スナッチ」で不動の人気を得ました。私生活では2000年にマドンナと結婚。その後、離婚してモデルのジャッキー・アシュリーと再婚しています。また空手、柔道、ブラジリアン柔術などを嗜み、武道にも通じています。
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息子を殺された父親の復讐劇を描くアクションスリラー。フランスのフィルムノワール「ブルー・レクイエム」をリメイクしたガイ・リッチー監督作です。主演には「リボルバー」以来のリッチー作品出演となるジェイソン・ステイサムを迎えています。
現金輸送会社にひとりの男”H”が警備員として入社してきます。ある日、現金輸送車が強盗犯に襲われますが、”H”が常人とは思えない動きで撃退し、同僚たちを驚かせます。実は”H”には、同僚たちの知らない目的があったのです。
敵討ちに燃える父親をジェイソン・ステイサムが演じ、クールなアクションをこなしています。「シン・シティ」のジョシュ・ハートネットや「パシフィック・リム:アップライジング」のスコット・イーストウッドなどが脇をかためます。
以下、製作年順に紹介します。
低予算で製作された、ガイ・リッチーの長編映画初監督作品です。脚本も手がけています。犯罪を主題としたスリルのあるアクション映画で、緩急のある映像演出と巧妙につながる群像劇が、作品全体にスマートな爽快感を与えています。
ロンドンの下町に住む、一攫千金を狙う4人の若者たちは、運命をかけたカードゲームに負けて多額の借金を背負うことに。返済に困っていると、ギャングの強盗計画を偶然知ることになり、横取りして挽回することを企みます。
制作されたイギリスでは、1999年の年間興業成績1位を記録しました。
「トランスポーター」などで知られる俳優ジェイソン・ステイサムのデビュー作品です。2000年にはテレビドラマとしてもリメイクされています。作品名は「ロック、ストック＆ワン・ビッグ・ブロック」「ロック、ストック＆スパゲッティ・ソース」「ロック、ストック＆フォー・ストールン・フーヴズ」。ガイ・リッチーは製作総指揮・脚本を担当しています。
ロンドンの裏社会を舞台にした、ガイ・リッチーによる2作目の長編映画。86カラットもあるダイヤモンドをめぐり、裏ボクシングの悪徳プロモーター、賭元、強盗団、宝石商、ギャングが対立しながら、混乱を深めていきます。ブラッド・ピットが自ら望み、格安のギャラで出演していることでも話題を呼びました。
非合法なボクシングのプロモーター2人組は、八百長試合を仕込むも、予定外にボクサーをノックアウトされて窮地に立たされます。また、ベルギーでダイヤを盗んだ強盗団も、ボクシングの賭けで罠にはまり、連絡ができない状況に。それを追ってきたギャングのボスも登場し、それぞれの思惑が交錯していきます。
アイルランド人のジプシー役を演じたブラッド・ピットは、クセのある発音に苦労したそう。編集は「127時間」でアカデミー編集賞にノミネートされたジョン・ハリスによるものです。
1974年に制作されたイタリア映画「流されて…」のリメイク作品。主演をガイ・リッチーの妻（当時）であるマドンナが務めています。相手役のアドリアーノ・ジャンニーニは、オリジナル作品で相手役を演じたジャンカルロ・ジャンニーニの息子です。
富裕層がバカンスを楽しむプライベート・クルーズ船は、ギリシャからイタリアへの航海中。夫のトニーに不満を抱くアンバーは、わがままな怒りをぶつけていた船員のジュゼッペにボートを出させますが、2人は嵐に見舞われて無人島にたどりつくことになります。
残念ながら世間的な評価が低く、ゴールデンラズベリー賞（ラジー賞）で5部門を獲得しています。
製作にリュック・ベッソンを迎えた、ガイ・リッチーの監督作品。哲学的な格言がいくつも登場し、解釈の幅を持たせたサスペンスストーリー。タイトルの「リボルバー」には、金融用語であるリボルビング（通称リボ払い）の意味もあります。
カジノ界に君臨するマカに仕組まれ、刑務所に7年間入れられていたジェイク。獄中生活で知り合った人たちからペテンの技を学び、出所した後、ギャンブラーとしてマカのカジノで勝負を挑み、大金を手に入れます。マカは殺し屋をジェイクに差し向けるが……。
ユダヤ教の神秘主義思想であるカバラや、数秘術と呼ばれる占いなどが登場するなど、考察のしがいがある作品になっています。
ガイ・リッチーが得意とする、ロンドンの裏社会を描いたクライムムービー。入り乱れる登場人物が、次々と問題を巻き起こしていく痛快な群像劇は、監督初期の作風を思い出させてくれます。
不動産取引の失敗により、裏社会のボスであるレニーに多額の借金をしたワンツーと仲間たち。そんな窮地に、会計士のステラから現金強奪の計画を持ちかけられる。
ワンツーを演じたのは、「300＜スリーハンドレッド＞」の主演であるジェラルド・バトラー。「フル・モンティ」で、英国アカデミー賞の助演男優賞を受賞したトム・ウィルキンソンも登場します。
これまでに何度も映像化されてきたコナン・ドイルの小説を、ガイ・リッチーが自らの解釈も加えて監督した作品。卓越した洞察力や推理力はそのままに、より躍動的な要素に光を向けることで、ホームズのイメージを塗り替えることに成功したアクション・サスペンス映画です。
19世紀末、ロンドンの町では奇妙な連続殺人事件が。ホームズは相棒のワトソンと共に、すぐこの事件を解決するのですが、犯人であるブラックウッド卿は、さらなる事件が起こることを予言して処刑されていきます。止まらない秘密結社の陰謀に、ホームズが立ち向かいます。
アメリカでは2億ドルを超える興行収入を記録し、2009年公開作の10位となりました。2009年のアカデミー賞の作曲賞、美術賞にノミネートされ、サターン賞でも9部門にノミネートされました。
低評の続いたガイ・リッチーの復活を印象付けた作品です。主演のロバート・ダウニー・Jrは、ゴールデングローブ賞の主演男優賞（ミュージカル・コメディ部門）を受賞しています。
2009年に制作された映画の続編で、コナン・ドイルの「最後の事件」がストーリーの中心です。ホームズのライバルといわれるモリアーティ教授が登場します。監督は引き続きガイ・リッチー。メインキャストやスタッフもそのままに、原作に忠実な部分を作品に散りばめてリメイクされています。
前回の物語から1年後。欧州で起きているいくつかの事件がつながっていることに気づいたホームズは、出来事の先に天才数学者のモリアーティ教授がいることをつきとめます。ようやく対面を果たしたモリアーティから告げられたのは、結婚を控えたワトソンの殺害予告でした。
アメリカでは1億8,000万ドルを超える興行収入を記録し、2011年公開作の9位となりました。サターン賞でも2部門にノミネートされています。
「犯罪界のナポレオン」という異名のあるモリアーティ教授役には、リチャード・ハリスの息子であるジャレッド・ハリスが起用されました。
かつてアメリカや日本で放送された人気スパイドラマ「0011ナポレオン・ソロ」を、ガイ・リッチーがリメイク。1960年代の東西冷戦の影で動く、アメリカとロシア（ソ連）のエージェントの物語です。
核兵器拡散によるテロ計画を企む犯罪組織を制圧するため、普段は敵対している大国の情報機関、CIAとKGBのエリートがタッグを組むことになります。ベルリンで鍵を握る天才科学の娘を保護するものの、2人の行動は噛み合わず……。
アメリカのスパイ役であるソロを演じたのは、スーパーマン映画「マン・オブ・スティール」で主役を務めたヘンリー・カヴィルです。
聖剣エクスカリバーを岩から引き抜く伝説で広く知られた、アーサー王の物語を描いたアクション映画です。いくつもあるストーリーの中で、この作品ではアーサーが王として即位するまでが描かれています。
幼い頃に叔父であるヴォーディガンにイングランドの王であった父を殺されたアーサー。自らの境遇を知らぬままスラムで育てられていましたが、国王軍につかまり、聖剣を引き抜いたことで偉大なる運命が回り始めます。
全6部作の1作目として制作されましたが、興行的に奮わず、シリーズの続行は中止となりました。「パシフィック・リム」で知られるチャーリー・ハナムが主演です。サッカーの元イングランド代表、デヴィッド・ベッカムも俳優としてデビューしています。
1992年制作のディズニーのミュージカル・アニメをガイ・リッチーが監督し、実写映画化。ピュアな心をもつ貧しい青年と、自由に憧れる王女との身分を越えた恋の行方を描いたファンタジー・アドベンチャーです。
砂漠の王国アグラバーでコソ泥をして暮らすアラジンは、ある日、変装した王女ジャスミンの窮地を救います。後日、彼女と再会しようと宮廷に忍び込んだアラジンでしたが、王の座を狙う国務大臣ジャファーに捕らえられ、あることを命じられます。それは洞窟から魔法のランプを見つけ出してくることでした。
アメリカでは3億5,000万ドル以上の興行収入を記録し、2019年公開作の8位となりました。サターン賞では9部門にノミネートされ、マイケル・ウィルキンソンが衣装デザイン賞を受賞しました。
ウィル・スミスがランプの魔人ジーニーを演じ、話題になりました。
裏社会のクセ者たちが、麻薬王の資産をめぐって騙し合いのバトルを繰り広げるクライム・アクション映画。監督は悪党たちの思惑が絡み合うストーリーを十八番とするガイ・リッチーです。
ロンドン裏社会の麻薬王であるアメリカ人ミッキーが、引退を機に麻薬ビジネスの権利を売却するとの噂が流れます。そのことを聞きつけたユダヤ人の大富豪、中国マフィア、私立探偵といったワルたちが、利権を手にしようと熾烈な争いを展開していきます。
公開初週末に1,000万ドル以上の興行収入をたたき出し、週末興行収入ランキング初登場4位となりました。またサターン賞で、アクション/アドベンチャー映画賞にノミネートされました。
キャストには「インターステラー」のマシュー・マコノヒー、「パシフィック・リム」のチャーリー・ハナム、「ダンボ」のコリン・ファレルなど豪華な面々が集結しました。ラブ・コメディ作品の印象が強いヒュー・グラントが、クセのある私立探偵役として出演しています。
息子を殺された父親の復讐劇を描くアクションスリラー。フランスのフィルムノワール「ブルー・レクイエム」をリメイクしたガイ・リッチー監督作です。主演には「リボルバー」以来のリッチー作品出演となるジェイソン・ステイサムを迎えています。
現金輸送会社にひとりの男”H”が警備員として入社してきます。ある日、現金輸送車が強盗犯に襲われますが、”H”が常人とは思えない動きで撃退し、同僚たちを驚かせます。実は”H”には、同僚たちの知らない目的があったのです。
敵討ちに燃える父親をジェイソン・ステイサムが演じ、クールなアクションをこなしています。「シン・シティ」のジョシュ・ハートネットや「パシフィック・リム:アップライジング」のスコット・イーストウッドなどが脇をかためます。
