笑いを抑えて面白いものを作る監督に きたろう「匠の技」 「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」トークイベント

映画スクエア

笑いを抑えて面白いものを作る監督に きたろう「匠の技」 「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」トークイベント

「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」の写真をもっと見る

 川を挟んだ隣町と”朝9時から夕方5時まで”規則正しく戦争をしている架空の町を舞台にした映画「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」が、3月26日より公開される。15日に生配信トークイベントが実施され、主演の前原滉、今野浩喜、中島広稀、清水尚弥、橋本マナミ、矢部太郎、片桐はいり、嶋田久作、きたろう、池田暁監督が登壇した。

 昨年の東京フィルメックスで日本人監督作品初の審査員特別賞を受賞した池田暁監督は、「初の劇場公開となる作品なので、多くの人に自分の映画を観てもらう機会ができて嬉しいです」とあいさつ。映画初主演なった前原滉は、「初主演作の実感があまりなくて…というのもキャストにスタッフに、いろんな方々に支えられて演じることができたからです」と感謝を述べた。

 代わる代わる登壇したキャストは、池田監督の演出の特徴である、抑揚のない話し方や感情が読みづらい表情について語った。中島広稀は「こんな演技は初めてなので、みんな探り探りだったと思います。だけど本番を迎えたら、ピタッと演技や間がハマって。すごく胸が熱くなりました」と感想を述べた。嶋田久作は、「脚本を読んだときに、余計なことはしないで無駄を削ぎ落としていくような演技が求められていると理解しましたが、それがなかなか難しい。みんなで息を合わせないといけないので。でも監督がしっかりと演出をしてくれましたね」と、監督への信頼を口にした。

 今野浩喜は、無表情で笑いをこらえながら演じる大変さについて、「表情を作ってはいけないのはつらかった。“葬式コント”とかはこんな感じで生まれたのかなと(笑)。特に定食屋でのシーンは、横にいる片桐さんの動きがすごく面白いのに笑ってはいけないのが大変でした」と撮影を振り返った。池田監督の短編「化け物と女」に続いて本作が2回目のタッグとなったきたろうは、「登場人物はみんな無表情なんだけど、 “笑い”がベースにある。笑いを抑えて、面白いものを作ってるのがいい。笑わせようという欲を抑えるのが匠の技だよ」と、監督の演出術を称賛していた。

 「きまじめ楽隊のぼんやり戦争は、町境である一本の川を挟んで”朝9時から夕方5時まで”規則正しく戦争をしている二つの町を舞台に、音楽隊に異動を命じられた真面目な兵士の主人公たちを描いた作品。いつの時代でもない架空の町の小さな社会が、現実の日常と地続きにあることをユーモアたっぷりに映し出す。監督を務めるのは、国際映画祭で受賞を重ねてきた池田暁。本作が初の劇場公開作となる。第21回東京フィルメックスでは、日本人監督作品初の審査員特別賞を受賞した。

【作品情報】
きまじめ楽隊のぼんやり戦争
2021年3月26日(金)より、テアトル新宿ほか全国順次ロードショー
配給:ビターズ・エンド
©2020「きまじめ楽隊のぼんやり戦争」フィルムプロジェクト

  • 作品

きまじめ楽隊のぼんやり戦争

公開年 2020年
製作国 日本
監督  池田暁
出演  前原滉、今野浩喜、中島広稀、清水尚弥、橋本マナミ 矢部太郎 片桐はいり
作品一覧