自閉症者スペクトルの息子と父描く「旅立つ息子へ」 世界自閉症啓発デーにオンライン座談会開催

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自閉症者スペクトルの息子と父描く「旅立つ息子へ」 世界自閉症啓発デーにオンライン座談会開催

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 国連が定めた4月2日の「世界自閉症啓発デー」に合わせ、子育てに人生のすべてをささげた父と自閉症スペクトラムの息子の逃避行を描く映画「旅立つ息子へ」公開記念として、オンライン座談会が開催された。

 座談会は、障がいのある方の「働く」「暮らす」「育む」を応援する障がい福祉情報メディア「障害者ドットコム」編集長の川田祐一氏、着物文化を継承したファッションブランドを立ち上げて伝統職人と障がい者雇用を結び付けることを目標に活動している「KUDEN」デザイナーの佐藤貴浩氏、発達障がいのお子さんを持つパパの子育てを支援する、NPO法人ファザーリング・ジャパンの「メインマンプロジェクト」リーダーの橋謙太氏を迎えて実施された。

 座談会では、映画の感想や映画内の自閉症スペクトラムの息子ウリの言動などについて、自らの体験や立場を重ねて語られた。また、それぞれの現在取り組んでいる活動や、今後の展望についてもトークが展開された。

 最後にこの映画を通して発達障がいについて知ることで、誰もが生きやすい社会を実現するためにできることについて語られた。佐藤氏は「海外の文化、男女の違いなど他者との違いをどう受け入れるのか。経営者としても、生きていくうえでも、大切にしていきたい。これをきっかけに活発に意見交換できる場が出来てほしいし、違っていいということを感じられることが大事だと思った」と思いを伝えた。

 橋氏は、「ふたつあって、まずひとつめはインドの格言に、人に迷惑をかけているから、人を許してあげなさいという言葉がある。日本は人に迷惑をかけないと教わるけど、インドは逆、生きていること自体が迷惑をかけている、だから人を許しなさいという考え。その方が優しい社会だなと思うし、そうした発想が重要で、助け合うことが大切。もうひとつは、困っているのは支援する側ではなく本人。この映画だと、ウリ。その行動は自分を落ち着かせるためにやっているケースもある。本人がすごく困っているから問題行動を起こしていることを忘れないで欲しい」とコメントした。

 川田氏は「これからのテーマは地域共生。昨日から社会福祉法が改正し、取り組みが進められているけど伝わっていない。福祉を身近なものとして伝えて、誰もがお互いに支える、支えられるような生きやすい社会に。地域共生社会のテーマに我が事・丸ごと、という言葉がある。自分ごとのように考える社会、丸ごとみんな繋がって助け合う地域をつくっていきたい」と締めくくった。

 座談会の様子は、「旅立つ息子へ」を配給するロングライドの公式YouTubeチャンネルで視聴できる。

 「旅立つ息子へ」は、深い絆で結ばれた自閉症スペクトラムを抱える息子と父の2人が、引き離されないため逃避行に出る物語。親としての葛藤、子供への深い愛、やがて訪れる巣立ちの時を描いている。監督を務めるのは、東京国際映画祭で2度のグランプリ受賞を果たした唯一の監督である、イスラエルのニル・ベルグマン。息子ウリ役を演じた新人ノアム・インベルは、オーディションでこの役を勝ち取り、自然な姿で複雑なキャラクターを体現している。

【作品情報】
旅立つ息子へ
2021年3月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
配給:ロングライド
©︎ 2020 Spiro Films LTD.

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