2025年6月27日より劇場公開される、第6回新潮ドキュメント賞を受賞した、福田ますみのルポルタージュ「でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相」の映画化作「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」から、キャラクター映像が公開された。
映像は、氷室律子(柴咲コウ)の息子・拓翔(三浦綺羅)による、先生から体罰を受けたという告白から始まる。「薮下先生」のセリフに重なる男の表情と雰囲気は尋常ではない。その後に登場する小学校教諭の薮下誠一(綾野剛)は、おびえた表情で「やってません」と完全否認するものの、続いて映し出される行動や様子は常軌を逸している。さらに保護者の氷室律子は「絶対に許すことができません」と力強く断言。有無を言わさない冷たい強さとともに、どこかしら奇妙な空気が感じ取れる。
続々と登場する人物も異様な存在感を放つ。週刊春報の記者である鳴海三千彦(亀梨和也)は氷室夫婦に対して「私に任せてください」と自信たっぷりに言い放ち、教頭の都築(大倉孝二)は「認めてましたよね?」と薮下に詰めよる。さらに、律子の夫・氷室拓馬(迫田孝也)が「出ていけ暴力教師」と迫力満点に怒号を浴びせ、薮下の妻・希美(木村文乃)の「あなたの味方だから」というセリフからは、薮下を支える気概と愛情が伺える。
校長、段田重春(光石研)が「とにかくまずは謝罪すべきだ」と重々しく言う様子には事なかれ主義が極まり、弁護士の大和(北村一輝)は「被告が体罰をしたと?」と自信ありげに淡々と詰め寄る。薮下の弁護士・湯上谷(小林薫)は「裁判は戦争ですよ」と鋭い空気を放っている。
「でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相」は、20年前に日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を取り上げたルポルタージュ。報道をきっかけに、担当教輸は”史上最悪の殺人教師”と呼ばれ、停職処分になる。児童側を擁護する550人の大弁護団が結成され、民事裁判へと発展するが、法廷は担当教諭の完全否認から幕を開ける。
主人公の小学校教諭・薮下誠一を演じるのは綾野剛。薮下を児童・氷室拓翔への体罰で告発する保護者・氷室律子を柴咲コウが演じるほか、亀梨和也、木村文乃、大倉孝二、迫田孝也、光石研、北村一輝、小林薫も出演する。監督は三池崇史。実話をもとに人間の静かな恐ろしさを描いた、三池監督の作品群の中でも異色作となっている。
【作品情報】
でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男
2025年6月27日(金)全国公開
配給:東映
©2007 福田ますみ/新潮社 ©2025「でっちあげ」製作委員会