2025年11月7日より劇場公開される、「ケイコ 目を澄ませて」「夜明けのすべて」の三宅唱監督最新作「旅と日々」の、30秒予告が公開された。また、河合優実、髙田万作の出演も明らかになった。
30秒予告は、「行き詰まった脚本家が旅に出た」というコピーから始まる。脚本家の李は、たどり着いた宿で、宿主であるべん造に「幸せな気分さ、なる話はどうだや?」と問いかけられる。眼鏡を曇らせながらうどんを満足そうにほおばる李、雪の中でうっとりするように周囲の音に耳を澄ませる李。行動のひとつひとつに人間味あふれる李のキャラクターの魅力が垣間見える。さらに、「なしてこんなとこ来たの?」と尋ねられると「なんとなくです」と答える李に呼応するように、夏の海で「なんにもしたくなくて」と答える渚(河合優実)の姿が映し出される。
雪深い山奥と夏の海辺の風景が行き交う映像や、「毎日が旅の途中だ」というコピーそのままに、日常と非日常が交錯する旅路が描き出されている。予告編を包み込む音楽を、三宅作品には欠かせないHi'Specが担当している。
「旅と日々」は、つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先でのべん造(堤真一)との出会いをきっかけに、人生と向き合っていく過程を李本人がつづる物語。うだつの上がらない脚本家の李は、ひょんなことから訪れた雪すさむ旅先の山奥で、おんぼろ宿に迷い込む。雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。“べん造"と名乗るやる気の感じられない宿主。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。しかし、べん造にはちょっとした秘密があるようだった。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出す。
河合優実、髙田万作のコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■河合優実 コメント
――本作のお話をもらったとき、率直にどのように思いましたか
『きみの鳥はうたえる』が大好きで、いつか三宅監督とご一緒したいと思い続けていたので、すごく嬉しかったです。
――脚本を読んで、どう思いましたか
ふたつの原作を、夏と冬でメタ的に構成しなおすことに驚きがあり、とても面白いと思いました。また、三宅監督が何か新しいことに挑戦している印象があったので、一緒に映画を作ることが楽しみな脚本だと思いました。
――三宅監督との仕事は如何でしたか?
最初に、「監督と演者というより、一緒に作っていく人として接します」と言ってくださったのですが、それがすごく嬉しかったです。三宅さんは気さくで話しやすい方ですが、環境づくりはとにかく丁寧で、素晴らしい現場でした。
――完成した映画を観て
傑作だ、と思いました。ほんのささやかな物語の中に、無数の感慨があります。全てのカットが、本当に美しいものを撮っている、または、本当に畏れながら撮っている、という感じがして、そういう意味での嘘のなさに、感動しました。皆さんの素晴らしい仕事の結集だと思います。自分がこの映画の中に残っていることが嬉しいです。
■髙田万作 コメント
――本作のお話をもらったとき、率直にどのように思いましたか
オーディションの話を頂いた時から、三宅唱監督作品という事もあり「絶対にやりたい」と思っていましたし、自分にとって必ず転機になる作品だと確信していました。合格の連絡をもらった時は、プレッシャーもありましたが、それ以上に早く現場に入りたい気持ちが強かったです。
――脚本を読んで、どう思いましたか
原作の、「海辺の叙景」の少し怖くて、でも目を離せないあの感覚が、脚本に上手く落とし込まれているなと思いました。読みながら、この先2人はどんな結末を迎えてしまうんだろうと、少しゾワゾワした気分になりました。
――三宅監督との仕事は如何でしたか?
監督自身が、現場をすごく楽しまれてるなと思いました。いつも笑顔で、スタッフの方と楽しそうに試行錯誤されてる姿が、すごく印象的でした。演技指導に関しても、監督の言葉ひとつひとつが信頼に満ちていて、難しい演技にも安心して挑戦することができました。
――完成した映画を観て
ただそこに立って、風を受けながら、場所に身を委ねる。旅なんてそれだけで十分だと思える映画でした。言葉に囚われていた主人公が、この旅を通して少しずつほどけていく様な感覚が、皆さんにも伝わればいいなと思います。素敵な作品に関わることが出来て光栄でした。
【作品情報】
旅と日々
2025年11月7日(金)、TOHOシネマズ シャンテ、テアトル新宿ほか全国ロードショー
配給:ビターズ・エンド
©2025『旅と日々』製作委員会