実在のサービス「人間レンタル屋」描く 要望に応え、代行人演じる 「レンタル×ファミリー」公開決定

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実在のサービス「人間レンタル屋」描く 要望に応え、代行人演じる 「レンタル×ファミリー」公開決定

 家族レンタルサービスなどを展開する石井裕一の著書「人間レンタル屋」を映画化した「レンタル×ファミリー」が、2023年6月10日より劇場公開されることが決まった。

 「レンタル×ファミリー」は、人間をレンタルするという実在のサービスをもとにした作品。子どものために父親を“レンタル”するシングルマザー、つかの間の幸せを得る人、金で買える幸せにやがて依存していく人、そして“父親”が実は雇われていた他人だったということを知った子どもなど、家族の在り方や幸せの価値が多種多様な現代社会で生まれた実在のサービス「人間レンタル屋」。時代のニーズに応え、人の幸せを願い、仕事に真摯に向き合おうとする主人公と、サービスにまつわる3つの家族の物語が描かれる。

 依頼者の家族を演じる「人間レンタル屋」の主人公・三上を演じるのは塩谷瞬。夫のDVに耐えかね、シングルマザーとなった依頼人・朋子を、「全裸監督」などの川上なな実が演じる。依頼人の母を突然亡くし、それまで父だと思っていた三上から真実を伝えられる“娘”・菜々子役を、700人のオーディションから選ばれた白石優愛が務める。ほかに、でんでん、野見隆明、鈴木ふみ奈らが出演する。監督は、デビュー作「エターナル・マリア」に続き、今回が長編2作目となる阪本武仁。

 公開されたポスターは、「人を幸せにしたいだけなんです」のコピーとともに、タイトル「レンタル×ファミリー」に目が隠れるような、塩谷演じる三上の姿が逆さまに捉えられたビジュアルになっている。予告編では、依頼人たちの感情にフォーカスし、家族をレンタルするというサービスをめぐって揺れ動く、当事者たちの姿が収められている。

 塩谷瞬らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■塩谷瞬(人間レンタル屋・三上役)コメント
「人間代行業」と言うのはある意味究極の職業であり、喜びも悲しみも仕事として請け負う以上に、人間として常にそれで正しいのかと問答する一面があります。そして、クライアントも様々な人生の環境下の中、自分では解決できない問題や、心の隙間を埋めようと依頼をされるので、それをどう向き合うのかを見て頂きたいです。この作品は1年かけて撮影し季節や人の心の移り変わりを描いています。
脚本の段階から監督やスタッフさんとも色々お話しをさせて頂き、その人の生きる道や、社会問題をどう描いて行くのが伝わるのか、撮影中も何度も話し合って撮影しました。原作者であり、代行をされている石井さんと何度もお話しさせて頂きました、とても穏やかだけどどこか緊張感があり、懐に入れそうで距離があるそのような絶妙な距離感で日々を過ごしているのを感じ役にも取り入れました。目に見えない人生の財産や、人の思いをどう繋いでいくのかが問われる凄く難しい現場でした。
私自身この撮影を通し依頼者の問題に対してこれでいいのかと悩みましたし、プライベートでも代行業を登録して現場を学びました。海外でも注目されている「人間代行業」現代の社会だからこそ生まれてきたサービスだと思います。賛否のあるテーマではあると思いますが、生きる力になれば幸いです。

■川上なな実(シングルマザー・朋子役)コメント
この作品に入る直前までスタッフの皆さんとディスカッションしていました。そのようにこのテーマは賛否両論あると思います。私も賛否ある環境にいた事があるので複雑でしたが、人それぞれ価値観の違いを受け入れて、その時の自分の正義を見つけて進めばいいと私は思います。そしてそれが間違いだったと気づいた時に修正してまた進めばいい。この作品を見て皆さんに何か見つけてもらえると幸いです。決して答えが出なくてもその場で救われる人がいるということが事実なのかと…

■白石優愛(依頼者の娘・菜々子役)コメント
佐々木菜々子役を務めさせていただきました、白石優愛です。
撮影から1年ほど経ち、いよいよ劇場公開の日が近づいてきたとワクワクしております。
オーディションの時から、菜々子の台詞を読みながら「私だ」と思っていました。
そして、監督やスタッフの皆さん、塩谷瞬さんやでんでんさんを始め、たくさんのキャストの皆さんに菜々子の世界を広げていただきました。
きっと大半の皆さんが経験した事のない、不思議な世界と不思議な愛を見る事ができる作品になっていると思います。
ぜひ、劇場でお待ちしています。

■でんでん(菜々子に寄り添うペンションオーナー・浅田役)コメント
菜々子は最愛の母を突然失いました。それだけでも辛く悲しくてたまりません。追い打ちをかけるように、お父さんが本物ではなく、レンタルされた他人だという信じられない様な話です。そのショックは思春期の菜々子にとって、言葉では言い表せない事だと思います。この失意のどん底からどのように生きようとするのか。阪本武仁監督はこれをなんと表現するのか。私は、ドラマに登場する心温かい人物を自分の人間性で応えることが出来るのか。いろいろ考えながら現場にいました。ロケ現場のペンションの方が作ってくれた料理をキャスト、スタッフが愛しそうに、家族みたいにとても大事に食べてた気がしました。ラストは主人公が自分の手で幸せを必ず見つけるようなシーンでホッとしました。

■原作者・石井裕一コメント
『人をレンタルするクライアント側』と『様々な代行を演じる会社側』  2つの視点から登場人物たちのリアルな感情や葛藤を深く掘り下げ、現代社会の裏側に潜む孤独や繋がりについて描かれており、言葉では表現しきれない心境を見事に表現している作品です。人間関係やコミュニケーションが希薄化している「今の日本」を背景に、それぞれの人々が代行を依頼する理由そのものに対し、喜びや悲しみ、そして愛情といった人間の本質を探求しています。是非、この映画を通じて社会の裏側で起きている「現実」を多くの方に感じ取って頂ければと思います。複雑な余韻に包まれるとともに自分自身の人生や人間関係について改めて考えさせられる作品となるでしょう。

■監督:阪本武仁コメント
今、日本で実在する家族レンタルサービスを描いた作品です。結婚式の代理出席、父親代行、友人代行、彼氏彼女代行サービスなど、人の心の隙間を埋める人間レンタルサービスに惹かれ、取材を続けて来ました。賛否両論あるサービスではありますが、このサービスがあることで救われている人がいます。また依頼者からの要望に一生懸命応えようとしている事業者がいます。又そこに言葉では表現し難い違和感もあります。この作品の中で明確な答えなどは描いていません。何が正しくて何が間違っているのか、それは観る人の心の中に答えがあると思っています。人の欲望や業の深さ、多種多様な価値観を是非感じ取って頂ければ幸いです。

【作品情報】
レンタル×ファミリー
2023年6月10日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国ロードショー
配給:Atemo
(C)映画「レンタル×ファミリー」製作委員会

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