“疑似家族”と化した高齢者専用売春クラブ 実際の事件を基に日本が抱える不安描く 「茶飲友達」公開決定

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“疑似家族”と化した高齢者専用売春クラブ 実際の事件を基に日本が抱える不安描く 「茶飲友達」公開決定

 外山文治監督最新作「茶飲友達」が、2023年2月に劇場公開されることが決まった。“疑似家族”と化した高齢者専用売春クラブの姿を通して、現代社会に横たわる閉塞感や、高齢者・若者のどちらにも共通する寂しさを描き出す。

 「茶飲友達」は、会員数男性1000名、女性350名、最高齢は88歳の高齢者売春クラブが2013年に摘発された、実際の事件を基にした作品。「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立した佐々木マナは、新聞の三行広告に「茶飲友達、募集。」と掲載し、男性の元へ高齢女性を派遣するビジネスを始める。在籍する女性たちの中には、介護生活に疲れた者、ギャンブルに依存した者など、さまざまな事情を抱える者がいる。一方、「茶飲友達」を運営する若者たちもまた、閉塞感を抱えて生きている。若者や高齢者を束ねるマナは、彼らを「ファミリー」と呼び、疑似家族のような絆を育んでいく。

 高齢者の孤独に寄り添いながら自身も心に寂しさを抱え、ファミリー=“疑似家族”の中に居場所を求める主⼈公・マナを演じるのは、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍する岡本玲。監督は、「燦燦-さんさん-」「ソワレ」などの外山文治が務める。「カメラを止めるな!」などを送り出したENBU ゼミナール「シネマプロジェクト」の10作目となる。

 岡本玲と外山文治監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

■岡本玲
ワークショップオーディションから始まりコロナ禍での撮影中止を乗り越え、大切に育ててきた「茶飲友達」がついに完成しました。
万人が納得する正しさを求められる社会で、傷つきながら器用に生きる現代人。
目を逸らして投げ捨てられてきた痛みを拾いあげた映画です。
時にぶつかり合いながら、スタッフキャスト、そしてクラウドファンディングに参加してくださった皆様と、みんなで愛を注いだ作品です。
多くの方の目に留まることを切に願います。

■外山文治監督
いつか高齢者が「おじいさん・おばあさん」の役割を脱ぎ捨てた映画を作りたいと願っていました。私がシニアの光と影や若者の閉塞感を撮り続けてきた中で、もっとも快活で愛おしい映画です。
老いも若きも、誰だってひとりは寂しい。それなのに社会が、法律が、同調圧力が、人々をより孤独に向かわせて生きづらい世の中にしていると私は思います。
今こそ「茶飲友達」をお届けしたいです。

【作品情報】
茶飲友達
2023年2月渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
配給:イーチタイム
©2022 茶飲友達フィルムパートナーズ

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