2023年1月27日より劇場公開される、ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督による、「変態村」「地獄愛」に続く”ベルギーの闇3部作”の最終章「依存魔」から、精神科病院を抜け出したポールとグロリアの姿などが収められた場面写真が公開された。
場面写真では、森の中を走り、疲れ果てたようにボートで横たわり、大雨の中で抱き合うといったシーンが切り取られている。“闇の逃避行”だけに、笑顔のない2人にによる不穏な気配が捉えられている。また、ポールと一緒に後ろ姿でうつむく男性が写っている謎めいたカットもある。
「依存魔」は、美しい自然の風景とともに描かれる、孤独な10代の少年少女による絶対的な愛を描いた作品。12歳の恥ずかしがり屋で孤独な少年ポールは、奥深い森の中でにある、母親が働く精神科病院で暮らしていた。ある日ポールは、施設に到着した少女グロリアに、一目見た瞬間から恋に落ちる。精神的な問題を抱えるグロリアがポールに助けを求めたことから、まるで周囲の大人たちから逃げるように、彼らの狂気に満ちた闇の逃避行がはじまる。
監督は、人間の異常な愛と狂気を寓話的に描いた「変態村」、実在した変態連続殺人鬼カップルであるマーサ・ベックとレイモンド・フェルナンデスの関係性に着目し、強烈な愛の形を描いた「地獄愛」のファブリス・ドゥ・ヴェルツ。主演ポールを「ジュリアン」で離婚した父と母の間で揺れ動く息子ジュリアン役を演じたトーマス・ジオリアが、少女グロリア役をミヒャエル・ハネケ監督の「ハッピーエンド」でイザベル・ユペールらと共演したファンティーヌ・アルデンが演じる。
”ベルギーの闇3部作”は、ベルギーのアルデンヌ地方を舞台に狂気の愛を描くトリロジー。必ず“グロリア”というキャラクターが登場し、ローラン・リュカがどこかに出演しているという共通項がある。
ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督のコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【ファブリス・ドゥ・ヴェルツ監督 コメント】
『依存魔』は、『変態村』(04)から始まり『地獄愛』(14)へと続いた<ベルギーの闇 3 部
作>の最終章であり、この 3 作品は狂愛、怪物愛をテーマに、様々な形態の病理を分析している。この『依存魔』は愛、狂気、信仰についての残酷で詩的な物語だ。絶対的な夢とありふれた現実の狭間、激しいセンチメンタルと衝動の荒々しさの狭間で、『依存魔』は騒々しくて官能的、かつ暴力的な映画であり、その行為が信仰に導かれた愛であることを語る。私は一種の祈り、詩、入信の儀式のような、究極的に純粋な映画を作ろうと思った。私は超越的な次元を持った一言のタイトルが好きで、<ベルギーの闇 3 部作>はそのとおりとなっている(『変態村』=Calvaire、『地獄愛』=Alleluia、『依存魔』=Adoration)。また『変態村』は冬、『地獄愛』はなんとなく秋、そして『依存魔』は夏だ。春が抜けているが、このような 3 作の関連性も気に入っている。私を映画に駆り立てる要素は、愛の状態とその毒性、依存、狂気、嫉妬、ごまかしとセクシュアリティだ。『依存魔』はその感情が芽生え始める年代を切り取っている。
【作品情報】
依存魔
2023年1月27日(金)、シネマート新宿ほか全国順次公開
配給:キングレコード
(c) PANIQUE 2019 - SCOPE - RTBF - FWB - THE JOKERS FILMS - SAVAGE FILM