安楽死法案が可決された近未来の日本 人間の尊厳、生と死、愛を問う 高橋伴明監督「安楽死特区」本ビジュ

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安楽死法案が可決された近未来の日本 人間の尊厳、生と死、愛を問う 高橋伴明監督「安楽死特区」本ビジュ

 2026年1月23日より劇場公開される、「痛くない死に方」「夜明けまでバス停で」の高橋伴明監督が安楽死を描く映画「安楽死特区」の、本ビジュアルが公開された。

 「安楽死特区」は、近未来の日本で”安楽死法案”が可決され、国家主導で導入された制度のもと、人間の尊厳、生と死、そして愛を問う社会派ドラマ。主人公のカップルは、回復の見込みがない病気を患い、余命半年と宣告されたラッパーの・酒匂章太郎と、彼のパートナーでジャーナリストの藤岡歩。安楽死に反対のふたりは、特区の実態を内部から告発することを目的に、国家戦略特区「安楽死特区」への入居を決意するが、入居者たちの多様な境遇と苦悩、そして医師たちとの対話を通じて、心に微細な変化が訪れる。

 原作は、在宅医として2500人以上のみとりを経験してきた医師で作家の長尾和宏による同名小説。近未来の日本政府が承認する安楽死の要件を満たしてもなお、葛藤する人々の心情をリアルに描く。監督は、「痛くない死に方」「夜明けまでバス停で」など、死生観と社会問題に向き合ってきた高橋伴明。脚本は、「野獣死すべし」「一度も撃ってません」などの丸山昇一。章太郎役を『「桐島です」』の毎熊克哉、パートナー・歩役を「夜明けまでバス停で」の大西礼芳が務めるほか、加藤雅也 筒井真理子 板谷由夏 平田満 余貴美子 奥田瑛二が出演する。

 ダブル主演となる毎熊克哉、大西礼芳のコメントも公開された。コメントは以下の通り。

【コメント】

■酒匂章太郎役:毎熊克哉
章太郎という役を引き受けるのは正直とても怖かったです。フィクションの映画ではあるものの、実際に回復の見込みがない難病を抱えている方、闘病を支えているご家族の方々は世界中にたくさんいるから、生半可にはやれない。
役を考える前に、⽇本では認められていない"安楽死"という選択について深く考える必要がありました。だけど、自分がどの立場に立つかによって考えは180度変わってしまい、もう死なせてくれ…まだ生きててくれ…なかなか答えは出せない…。
だからこの映画が必要なんだと思い、作品と役から逃げないことにしました。
丸山さんが書かれた脚本には心臓の鼓動のようなビートがあって、そこに生(しょう)のリズムを刻み込むようなイメージで章太郎を演じました。
年齢問わず誰にとっても無関係ではない可能性がある題材です。是非、劇場でご覧ください。

■藤岡歩役:大西礼芳
藤岡歩を演じるにあたって、脚本が投げかける「安楽死」というテーマに、私自身も強い問いかけを受けました。
歩は、安楽死特区の矛盾を明らかにしようとするジャーナリストとしての使命と、難病の恋人・章太郎を何としても生かしたいという個人的な想いとのあいだで揺れ続けます。
彼が弱っていくほどに、私はむしろ不思議な強さを得ていく――そんな感覚を覚えました。

演じるうえでの支えとなったのは、事前に触れた「チベット死者の書」の教えです。
絶望の中でもわずかな希望を見つけるための道しるべのように感じられ、章太郎役の毎熊さんの静
 
かで優しいまなざしにも、その光が常に宿っていたように思います。この物語が、世代を超えて多くの方々に届くことを願っています。

【作品情報】
安楽死特区
2026年1月23日(金)より新宿ピカデリーほかにて公開
配給:渋谷プロダクション
©「安楽死特区」製作委員会

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