映画スクエア
君嶋彼方による同名小説の映画化作「君の顔では泣けない」が、2025年11月より劇場公開されることが決まった。芳根京子が主演し、髙橋海人が共演する。
「君の顔では泣けない」は、第12回「小説 野性時代 新人賞」を受賞した、君嶋彼方によるデビュー作。物語の始まりは、高校1年生の夏。坂平陸と水村まなみは、プールへ一緒に落ちたことがきっかけで、心と体が入れ替わってしまう。元に戻れることを信じ、その方法を模索し奔走する2人。しかし、誰にも言えない秘密を抱えた陸とまなみは、15年が経過しても元には戻らなかった。進学、初恋、就職、結婚、出産、親との別れと、人生の転機を入れ替わったまま経験していく2人。しかし30歳の夏、まなみは「元に戻る方法がわかったかも」と陸に告げる。
芳根京子が、入れ替わったあとの坂平陸役で主演。入れ替わったことをなかなか受け入れられないままなじめず、不器用でありながらも誠実に生きようとする主人公・坂平陸を、揺れ動く衝動と痛みで演じる。陸と入れ替わってしまう水村まなみ役を務めるのは髙橋海人。まなみ=女性である本音を隠し、うまく陸=男性として気丈にふるまう難しい役どころを、柔らかなまなざしと感情で体現している。監督は、「決戦は日曜日」の坂下雄一郎が務める。
芳根京子らのコメントも公開された。コメントは以下の通り。
【コメント】
■芳根京子
水村まなみとして生きてきた15年。
ある日突然始まった、坂平陸としての人生。
どうやったら自分らしく生きていけるのか。
どうすれば、相手らしく生きることができるのか。
どうやって自分を受け入れていくのか。
どうすれば相手を受け入れられるのか。
入れ替わって15年。
大学、仕事、恋愛、出産。
さまざまな経験を経て、30歳になった二人は、果たして元に戻ることができるのか?
そもそも、戻りたいと思うのか?
もがいて、もがいて、それでも精一杯、生きました。
この物語を、ぜひ映画館で見届けていただけたら嬉しいです。
■髙橋海人
入れ替わってから15年。
静かな痛みを、長い間抱えてきたふたり。
未来が見えない怖さと二人で戦いながら、でも同時に、だからこそ日々の痛みも大切に感じられる。
まなみと陸のあいだに流れる、リアルとファンタジーの狭間みたいな時間を、そんなふうに思い描きながら。僕の中にある想像力を総動員して作品に向き合いました。
観てくださる方は、いつの誰に、どんなふうに心を投影するんだろう。みなさんに観ていただけるのが、すごく楽しみです。映画館でご覧いただけると嬉しいです。
ぜひお楽しみください!
■監督・脚本:坂下雄一郎
初めて原作を読んだ時、15年入れ替わったままという設定に、こんなにも様々な解釈が可能で豊かな物語を作れるのか、と発明を発見したかのように驚いたことを覚えています。
そしてこの困難な設定をいかに映像化すればいいのかとても悩みました。
解決してくれたのは芳根さんと髙橋さんでした。
15年入れ替わったままの陸とまなみという人間を、芳根さんは葛藤し、もがき続ける陸というキャラクターを誠実さで、髙橋さんは軽やかさの中に痛みを感じさせる繊細さで演じてくださいました。
間違いなくこの映画の見どころはこのふたりです。ぜひ劇場でご覧ください。
■プロデューサー:ハピネットファントム・スタジオ 小西啓介
芳根さん、髙橋さんのお二人については、過去の出演作をいくつか拝見し、監督とも相談し、このお二人しかこの役は出来ないと思いオファーさせて頂きました。15年の積み重ねを表現する為に、入れ替わる前の15年、入れ替わった後の15年、合計30年分の人生を想像しながら、他人の人生を生きている役を演じるという複雑で困難なミッションを見事にクリアして頂きました。あまりにも自然で見落としてしまいそうな細かな動きやしぐさまで陸とまなみという役をただただ生きて頂きました。お互いを思いやる気持ち、戻りたいけど戻らないほうがいいんじゃないかという葛藤、本作にそこはかとなく漂う優しさと切なさと温かさはこの作品唯一無二のものだと思います。
■原作:『君の顔では泣けない』 君嶋彼方
映画が好きです。けれどあくまで自分が楽しむもので、その世界に携わることなんてないと思っていました。
それがなんと、自分の書いた小説が映画化。しかも思い入れの強いデビュー作。嬉しくないわけがありません。
出来上がった作品を観て、喜びは感動に変わりました。監督、スタッフの皆さん、役者の皆さん。全員が原作に対して真摯に向き合って作り上げてくださった映画だと感じました。
映画『君の顔では泣けない』、とても面白いです。原作の一番のファンである自分が言うのだから間違いありません。是非ご覧になってみてください。
【作品情報】
君の顔では泣けない
2025年11月全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(c)2025「君の顔では泣けない」製作委員会