萩原朔太郎の娘・萩原葉子の小説「天上の花」 56年の時を経て映画化決定

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 萩原朔太郎の娘である萩原葉子の同名小説「天上の花――三好達治抄――」の映画化が決定した。2022年初冬の劇場公開を予定している。1966年の第55回芥川賞候補作品に選ばれた原作が、56年の時を経て映画化される。

 「天上の花――三好達治抄――」は、人が生きる愛と苦悩の不条理な世界を赤裸々に描きだした作品。萩原朔太郎を師と仰ぐ三好達治は、朔太郎の美貌の末妹・慶子と結ばれることを望むが、貧乏書生と罵られ拒絶される。しかし、十数年後、慶子が夫と死別すると、三好は妻子と離縁して慶子と結婚。太平洋戦争の真っただ中に越前三国へと疎開した二人には、過酷な生活が待ち受けている。三好は純粋な文学的志向と潔癖な人生観の持ち主であり、奔放な慶子に対するいちずな愛と憎しみが、いつの日か激情とともに制御できなくなってゆく。天上の花とは、仏教用語における曼珠沙華、彼岸花の別名で、燃えるような赤い花は情熱の象徴で、有毒性をもつ。

 脚本を担当したのは、五藤さや香とこれまで数多くの脚本を手掛け、近年では「火口のふたり」で監督・脚本を担当した荒井晴彦。監督は、4時間超の長篇大作「いぬむこいり」やドキュメンタリー映画「M/村西とおる狂熱の日々」などの監督のほか、プロデューサーとしても多くの作品を手掛けている片嶋一貴。プロデューサーは寺脇研、小林三四郎が務める。

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