ストーリー・あらすじ紹介　万引き家族

ゆり

東京の下町の一軒家に、柴田治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀、治の母親の初枝が同居している。祥太は学校に通わず、治は翔太にスーパーなどで万引きをさせている。ある日、寒い夜にもかかわらず、家の外に1人でいるゆりを見つける治。かわいそうに思った治が家に連れて帰る。ゆりの体は傷だらけで、ゆりの家から両親の争う声を聞こえることから、治と信代はゆりを家に置くことにする。

1人暮らしと思われている初枝

治は工事現場で日雇労働をし、信代はクリーニング店で働いている。信代は、ポケットに入ったネクタイピンなどをくすねている。民生委員の男性が家を訪れ、初枝が対応する。民生委員は、初枝が1人暮らしだと思っている。初枝はゆりをかわいがり、はじめは邪険にしていた信代も愛情を抱くようになり始める。

骨折とワークシェア

治が工事現場で足を折ってしまい、しばらく働けなくなる。労災もおりない治は、ゆりにも手伝わせて祥太に高額の釣りざおを万引きさせる。亜紀はJK見学店でさやかの源氏名で働いており、「4番さん」と呼んでいる客のことが気になっている。月6万円の年金を受給している初枝は、パチンコ店で他人のドル箱をこっそりと盗んだりもする。信代の働くクリーニング店は経営がおもわしくないため、ワークシェアとして労働時間を短くされる。

「父ちゃん」

ゆりに万引きを手伝わせることが気に入らない祥太が、家に帰ってこない。祥太が心配なゆりは、玄関の前でずっと待っている。その様子を見た治が探しに行き、隠れ家にしている車にいる祥太を見つける。「ゆりも何か手伝った方が家にいやすい」と言われ、祥太は納得する。さらに治は祥太に「父ちゃん」と呼ばせようとするが、祥太は「いつか」とはぐらかす。

ゆりの本名

ゆりのことが失踪事件としてテレビで報道され、ゆりの本名が「北条じゅり」とわかる。じゅりが家に帰りたがらないため、髪の毛を短くし、「りん」と名前を変えて家に居続けることになる。りんをつれて水着を買いに行った時、信代はりんから「買ったらたたかない？」と聞かれる。また風呂に入った時に、りんはアイロンでやけどのあとができたことを語る。信代は家に連れてきた時のりんの服を焼き、りんを抱きしめてやる。

4番さん

夏になる。祥太は駄菓子屋でりんに万引きさせるが、店主に呼び止められ、「妹にはさせるなよ」と言われる。経営のおもわしくないクリーニング店から解雇の候補になった信代は、もう1人の候補である女性からりんのことを知っていると言われ、仕事を諦める。初枝は夫の再婚相手の息子の家を訪れ、“慰謝料”として金を受け取る。また、亜紀がこの家の長女であることが明らかになる。亜紀は、店に訪れた4番さんとトークルームで話をし、自分を殴って傷つけている4番さんを抱きしめる。

花火

急に大雨が降り出した日、ソーメンを食べていた治と信代は久しぶりに体を重ねる。外から帰ってきた祥太とりんは、2人の様子がおかしいことを不思議がる。夜に帰ってきた亜紀は、4番さんとのことで幸せな気持ちとなっており、初枝にそのことを見抜かれる。隅田川の花火が打ち上がる。縁側から花火を見ることはできないものの、みんなで花火の音を楽しむ。

海水浴

家族はみんなで海水浴に出かけ、楽しい時間を過ごす。だが、初枝の言動はどこかおかしい。りんの下の前歯が抜けた翌朝、初枝は目を覚まさない。亡くなっていることがわかり、初枝を慕っていた亜紀は非常に悲しむ。治たちは初枝を家の床下に埋めることにし、最初から初枝はいなかったフリをすることになる。

万引失敗

初枝の年金を引き出す信代。また、初枝のへそくりを見つけた信代と治が大喜びする姿を、祥太が無言で見つめる。治によって車上荒らしに連れて行かれた祥太は、人の物を盗むことに抵抗を感じて手伝わない。その後、りんとスーパーに行った祥太は、りんが万引きをしようとしたために、音を立てて店員の注意を引き、ミカンを手に店を出る。店員に追われた祥太は高架道から落ち、足をケガして入院する。

家族の秘密

治たち一家は、祥太を置いて家から逃げようとしたところを警察に捕まる。りんは両親の元に戻される。治と信代は、過去に信代の夫を殺害して埋めていたが裁判で正当防衛になっていた、2人の本名は榎勝太と田辺由布子であること、初枝とは血のつながりないこと、祥太も車に置き捨てられていた子どもを拾ってきたことが明らかになる。また亜紀は、初枝が亜紀の両親から金を受け取っていたことにショックを受ける。初枝の死体が発見され、信代はすべて自分1人でやったと罪をかぶる。